対称式・交代式の解き方がよくわからない
そもそも対称式って何?
対称式のわかりやすい解説が聞きたい!
今回はこういった疑問・要望にお答えします。
対称式(交代式)の問題は、解法が完全にパターン化されています(やり方が決まっている)。
このページを読み終えた頃には、対称式の問題が出ても楽勝で解けるようになっているはずです。
対称式(交代式)とは【基本からおさらい】
対称式とは?
対称式とは「文字を入れ替えても同じ形になる式」のことです。
もしピンと来なければ、点対称や線対称を思い出してください。
点対称は「点について入れ替えても同じ形になる」、線対称は「直線について入れ替えても同じ形になる」図形ですよね?
それと同様のイメージです。
$x, y$ を入れ替えても
$y^2 + 5yx + x^2$
$= x^2 + 5xy + y^2$
となり、元の形と一緒ですね。
こういった式を 対称式と言います。
交代式とは?
一方、交代式とは「文字を入れ替えると符号が交代する式」のこと。
$x − y$ の文字 $x, y$ を入れ替えると
$y − x$
$= −x + y$
となり、元の形と符号が逆(交代)になっていますね。
こういった式を 交代式と言います。
対称式(交代式)の解き方・考え方
対称式(交代式)の解き方を解説していきます。
まず次のことをおさえてください。
先ほどの例で言えば、
$x^2 + 5xy + y^2$
$= (x + y)^2 + 3xy$
$=$ 和$^2 + 3×$積
のように、和$($ $x +y$ $)$と 積$($ $xy$ $)$で表せます(基本対称式といいます)。
この性質を利用して、対称式の問題を解いていきます。
【例題1】x + y = 3, xy = 2 のとき、x² + y², x³ + y³ の値をそれぞれ求めよ。
この問題を解く前に、次の公式をしっかり覚えておきましょう。
- $x^2 + y^2 = (x + y)^2 − 2xy$
- $x^3 + y^3 = (x + y)^3 − 3xy(x + y)$
それぞれ証明しておきます。
① の証明
$(x + y)^2 = \color{red} {x^2} + 2xy + \color{red} {y^2}$
$∴ \color{red} {x^2} + \color{red} {y^2} = (x + y)^2 − 2xy$
② の証明
$(x + y)^3 = x^3 + 3x^2y + 3xy^2 + y^3$
∴ $(x + y)^3 = \color{red} {x^3} + 3xy(x + y) + \color{red} {y^3}$
$∴ \color{red} {x^3} + \color{red} {y^3} = (x + y)^3 − 3xy(x + y)$
これらの 対称式の公式 を使って解いていきましょう。
- 【解答】を見る
-
【解答】
$x^2 + y^2$
$= (x + y)^2 − 2xy$
$= 3^2 − 2 \cdot 2$
$= 9 − 4$
$= 5$
$x^3 + y^3$
$= (x + y)^3 − 3xy(x + y)$
$= 3^3 − 3 \cdot 2 \cdot 3$
$= 27 − 18$
$= 9$
別解として、「対称式の公式」を使わず、$ x + y = 3$ (和)の式を「2乗、3乗する」やり方もあります。
- 【別解1】を見る
-
【別解1】
$ $ $ x + y = 3 $
の両辺を2乗して
$ $ $ ( x + y )^2 = 3^2 $
$ $ ∴ $ x^2 +2 x y + y^2 = 9 $
ここに $xy = 2$ を代入して
$ $ $ x^2 +2 \cdot 2 + y^2 = 9 $
$ $ ∴ $ x^2 + y^2 = 5 $
また
$ $ $ x + y = 3 $
の両辺を3乗して
$ $ $ ( x + y )^3 = 3^3 $
$ $ ∴ $ x^3 +3x^2y +3xy^2 + y^3 = 3^3 $
$ $ ∴ $ x^3 + y^3 +3x^2y +3xy^2 = 27 $
$ $ ∴ $ x^3 + y^3 + 3xy (x + y) = 27 $
ここに $ x + y =3, xy = 2 $ を代入して
$ $ $ x^3 + y^3 + 3 \cdot 2 \cdot 3 = 27 $
$ $ ∴ $ x^3 + y^3 = 9 $
もうひとつ別解として、$x^3 + y^3$ は 因数分解の公式 を使って解くこともできます。
- 【別解2】を見る
-
【別解2】
$x^3 + y^3$
$= (x + y)( \color{red} {x^2} −xy + \color{red} {y^2} )$
$= 3( \color{red} {5} − 2)$
$= 9$
このように色んな解法を使えるようになっておくと、応用が効くようになってオススメです!
【例題2】 x = √5 + √3, y = √5 − √3 のとき、x² + y², x⁴ + y⁴ , x⁵ + y⁵ の値を求めよ。
(0) 基本対称式
対称式の問題 では、はじめに2つの「基本対称式」
$ $ 和$($ $x +y$ $)$と 積$($ $xy$ $)$
を求めておくのがポイントです。
【解答】
$x + y = 2\sqrt{5}, \, xy = 2$ ・・・①
(1) x² + y²
「対称式の公式(2乗)」をそのまま使います。
【解答】
$x^2 + y^2$
$= (x + y)^2 − 2xy$
$= \left(2\sqrt{5} \right)^2 − 2 \cdot 2$ (①より)
$= 20 − 4$
$= 16$ ・・・②
(2) x⁴ + y⁴
「4乗 = (2乗)$^2$」で作れますね。
【解答】
$x^4+ y^4$
$= \left(x^2 \right)^2 + \left(y^2 \right)^2$
$= A^2 + B^2$ ($A = x^2, B = y^2$ とおく)
$= (A + B)^2 − 2AB$
$= \left(x^2 + y^2 \right)^2 − 2x^2y^2$ ($A, B$ を元に戻す)
$= \left(x^2 + y^2 \right)^2 − 2(xy)^2$
$= 16^2 − 2 \cdot 2^2$ (①、②より)
$= 256 − 8$
$= 248$
(3) x⁵ + y⁵
5乗ってどうやって作るの? と考えると
「5乗 = 2乗 × 3乗」で作れそうですね。
$ $ $ x^5 + y^5 = \left( x^2 + y^2 \right) \left( x^3 + y^3 \right) − x^3 y^2 −x^2 y^3 $
$ $ $ = \left( x^2 + y^2 \right) \left( x^3 + y^3 \right) −x^2 y^2 \left( x + y \right)$
これは「対称式の公式(5乗)」として覚えておきましょう。
というわけで、まずは $ x^3 + y^3 $ を求める必要がありますね。
$x^3 + y^3 = (x + y)^3 − 3xy(x + y)$
【解答】
$ x^3 + y^3 $
$ = (x + y)^3 − 3xy(x + y) $
$ = \left( 2\sqrt{5} \right)^3 − 3 \cdot 2 \cdot 2\sqrt{5} $ (①より)
$ = 40 \sqrt{5} − 12 \sqrt{5} $
$ = 28 \sqrt{5} $・・・③
$ x^5 + y^5 $
$ = \left( x^2 + y^2 \right) \left( x^3 + y^3 \right) −x^2 y^2 ( x + y )$
$ = 16 \cdot 28 \sqrt{5} −2^2 \cdot 2\sqrt{5} $ (①、②、③より)
$ = 448 \sqrt{5} −8 \sqrt{5} $
$ = 440 \sqrt{5} $
まとめ
ここまでの「対称式の公式」を使った解答をまとめます。
- 【解答】を見る
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【解答】
$x + y = 2\sqrt{5}$, $xy = 2$ ・・・①
$x^2 + y^2$
$= (x + y)^2 − 2xy$
$= \left(2\sqrt{5} \right)^2 − 2 \cdot 2$ (①より)
$= 20 − 4$
$= 16$ ・・・②
$x^4+ y^4$
$= \left(x^2 \right)^2 + \left(y^2 \right)^2$
$= A^2 + B^2$ ($A = x^2, B = y^2$ とおく)
$= (A + B)^2 − 2AB$
$= \left(x^2 + y^2 \right)^2 − 2x^2y^2$ ($A, B$ を元に戻す)
$= \left(x^2 + y^2 \right)^2 − 2(xy)^2$
$= 16^2 − 2 \cdot 2^2$ (①、②より)
$= 256 − 8$
$= 248$
$ x^3 + y^3 $
$ = (x + y)^3 − 3xy(x + y) $
$ = \left( 2\sqrt{5} \right)^3 − 3 \cdot 2 \cdot 2\sqrt{5} $ (①より)
$ = 40 \sqrt{5} − 12 \sqrt{5} $
$ = 28 \sqrt{5} $・・・③
$ x^5 + y^5 $
$ = \left( x^2 + y^2 \right) \left( x^3 + y^3 \right) −x^2 y^2 ( x + y )$
$ = 16 \cdot 28 \sqrt{5} −2^2 \cdot 2\sqrt{5} $ (①、②、③より)
$ = 448 \sqrt{5} −8 \sqrt{5} $
$ = 440 \sqrt{5} $
(1)、(2) の 別解 として「和を2乗する」やり方もあります。
- 【別解】を見る
-
【別解】
$ x + y = 2 \sqrt{5} $ ・・・①
$ xy = 2 $ ・・・②
①の両辺を2乗して
$ $ $ ( x + y )^2 = \left( 2 \sqrt{5} \right)^2 $
$ $ ∴ $ x^2 + 2xy + y^2 = 20 $
②を代入して
$ $ $ x^2 + 2 \cdot 2 + y^2 = 20 $
$ $ ∴ $ x^2 + y^2 = 16 $ ・・・③
③の両辺を2乗して
$ $ $ \left( x^2 + y^2 \right)^2 = 16^2 $
$A = x^2, B = y^2$ とおくと
$ $ $ ( A + B )^2 = 16^2 $
$ $ ∴ $ A^2 + 2AB + B^2 = 256 $
$A, B$ を元に戻すと
$ $ ∴ $ \left(x^2 \right)^2 + 2x^2 y^2 + \left(y^2 \right)^2 = 256 $
$ $ ∴ $ x^4 + 2 (x y)^2 + y^4 = 256 $
②を代入して
$ $ ∴ $ x^4 + 2 \cdot 2^2 + y^4 = 256 $
$ $ ∴ $ x^4 + y^4 = 248 $
(3) の 別解 として「5乗 = 4乗 × 1乗」と考えるやり方もあります。
- 【別解】を見る
-
【別解】
$ x^5 + y^5 $
$ = \left( x^4 + y^4 \right) \left( x + y \right) −xy \, ( x^3 + y^3 )$
$ = 248 \cdot 2 \sqrt{5} −2 \cdot 28 \sqrt{5} $
$ = 496 \sqrt{5} −56 \sqrt{5} $
$ = 440 \sqrt{5} $
以上です。お疲れ様でした!
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