分数でくくるタイプの平方完成がうまくできない・・・
x²の係数が分数のとき、くくり方がイマイチわからない
どうやって平方完成すればいいのか分かりやすく教えてほしい!
こういった要望に応えます。
この記事を読めば、
$ $ $\displaystyle {{7\over2}x^2 + 5x +1}$
のような、$ $ $x^2$の係数が分数の式を迷わず&すぐに平方完成できるようになります。
分数でくくる平方完成は「逆数をかける」
を平方完成してみましょう。
まず$x^2$の係数 $\displaystyle { \left( {7\over2} \right) } $ で、前の2項をくくりますが、
問題は「$5x$ を$\displaystyle {7\over2}$でくくるとどうなるのか?」です。
結論を言うと、
と考えればOK!
($5x$ を $\displaystyle {7\over2}$ で割る と同じ意味)
$ $ $\displaystyle {5x \color{red} {×{2\over7}} = {10\over7}x}$
という計算を頭の中でやっておいて、
$\displaystyle{{10\over7}x}$ を( )の中に残します。
$\displaystyle {{7\over2}x^2 + 5x +1}$
$\displaystyle {={7\over2} \left( x^2 + {10\over7}x \right) +1}$
$=$ ・・・
試しに2行目の( )を分配法則で開いてみると、1行目の形に戻りますよね?
なので、この操作は正しいと言えます。
なお、ここからの 平方完成のやり方・手順 が不安だ・・・という人は、以下の記事でおさらいしましょう。
二次関数の「平方完成」の計算に手間取ったり、しかもミスをよくしてしまう 平方完成を素早く、確実に、簡単に計算する方法を知りたい! そもそもなぜ平方完成するの? 平方完成はいつ使うの? 今回の記事では、こういった悩み・疑問[…]
分数でくくる平方完成の例題
分数でくくるタイプの平方完成 の例をもう少し見ておきましょう。
【例題1】$\displaystyle {{3\over2}x^2 + x +3}$ を平方完成せよ。
$\displaystyle {{3\over2}x^2 + x +3}$
$\displaystyle {={3\over2} \left( x^2 \color{red} {+{2\over3}} x \right) +3}$ ・・・ ($\displaystyle {1×{3\over2} = {2\over3}}$ より)
$\displaystyle {={3\over2} \left(x + {1\over3} \right)^2 – {1\over9} \cdot {3\over2} +3}$
$\displaystyle {={3\over2} \left(x + {1\over3} \right)^2 – {1\over6} +3}$
$\displaystyle {={3\over2} \left(x + {1\over3} \right)^2 + {17\over6}}$
【例題2】$\displaystyle {{1\over4}x^2 – 3x +2}$ を平方完成せよ。
$\displaystyle {{1\over4}x^2 – 3x +2}$
$\displaystyle {={1\over4}(x^2 } \color{red}{-12} x) +2$ ・・・ ($-3×4 = -12$ より)
$\displaystyle {={1\over4}(x – 6)^2 -36 \cdot {1\over4} +2}$
$\displaystyle {={1\over4}(x – 6)^2 -9 +2}$
$\displaystyle {={1\over4}(x – 6)^2 -7}$
【例題3】$\displaystyle {-{3\over4}x^2 + {5\over2}x -2}$ を平方完成せよ。
$\displaystyle {-{3\over4}x^2 + {5\over2}x -2}$
$\displaystyle {= -{3\over4} \left( x^2 \color{red} {- {10\over3}} x \right) -2}$ ・・・($\displaystyle {{5\over2}× \left(−{4\over3} \right) = − {10\over3}}$ より)
$\displaystyle {= -{3\over4} \left( x – {5\over3} \right)^2 -{25\over9} \cdot \left(-{3\over4} \right) -2}$
$\displaystyle {= -{3\over4} \left(x – {5\over3} \right)^2 +{25\over12} -2}$
$\displaystyle {= -{3\over4} \left(x – {5\over3} \right)^2 +{1\over12}}$
分数でくくる平方完成を練習しよう!
分数でくくるパターンの平方完成 の練習問題をやってみましょう。
全部で 5問あります。
すべて解いてから、まとめて答え合わせしましょう。
【問題】次の式を平方完成せよ。
(1) $\displaystyle {{1\over3}x^2 + 2x -1}$
(2) $\displaystyle {{1\over2}x^2 – x +2}$
(3) $\displaystyle {-{2\over3}x^2 – 4x -11}$
(4) $\displaystyle {{1\over12}x^2 – {3\over4}x +2}$
(5) $\displaystyle {-{1\over6}x^2 + {5\over2}x -{47\over8}}$
- 【解答】を見る
- 【解答】
(1) $\displaystyle {{1\over3}(x + 3)^2 -4}$
(2) $\displaystyle {{1\over2}(x – 1)^2 +{3\over2}}$
(3) $\displaystyle {-{2\over3}(x – 3)^2 -5}$
(4) $\displaystyle {{1\over12} \left(x – {9\over2} \right)^2 +{5\over16}}$
(5) $\displaystyle {-{1\over6} \left(x – {15\over2} \right)^2 +{7\over2}}$
- 【解説(計算過程)】を見る
- 【解説】
(1) $\displaystyle {{1\over3}x^2 + 2x -1}$
$= \displaystyle {{1\over3}(x^2 }$ $+6$$x) -1$ ・・・($2×3 = 6$ より)
$= \displaystyle {{1\over3}(x + 3)^2 -9 \cdot {1\over3} -1}$
$= \displaystyle {{1\over3}(x + 3)^2 -4}$
(2) $\displaystyle {{1\over2}x^2 – x +2}$
$= \displaystyle {{1\over2}(x^2}$ $- 2$$x) +2$ ・・・($-1×2 = -2$ より)
$= \displaystyle {{1\over2}(x – 1)^2 -1 \cdot {1\over2} +2}$
$= \displaystyle {{1\over2}(x – 1)^2 +{3\over2}}$
(3) $\displaystyle {-{2\over3}x^2 – 4x -11}$
$= \displaystyle {-{2\over3}(x^2}$ $+ 6$$x) -11$ ・・・($\displaystyle {-4× \left( -{3\over2} \right) = 6}$ より)
$= \displaystyle {-{2\over3}(x + 3)^2 – 9 \cdot \left(-{2\over3} \right) -11}$
$= \displaystyle {-{2\over3}(x + 3)^2 -5}$
(4) $\displaystyle {{1\over12}x^2 – {3\over4}x +2}$
$= \displaystyle {{1\over12}(x^2}$ $- 9$$x) +2$ ・・・($\displaystyle {-{3\over4}×12 = -9}$ より)
$= \displaystyle {{1\over12} \left(x – {9\over2} \right)^2 -{81\over4} \cdot {1\over12} +2}$
$= \displaystyle {{1\over12} \left(x – {9\over2} \right)^2 -{27\over16} +2}$
$= \displaystyle {{1\over12} \left(x – {9\over2} \right)^2 +{5\over16} }$
(5) $\displaystyle {-{1\over6}x^2 + {5\over2}x -{47\over8}}$
$= \displaystyle {-{1\over6} \left( x^2 \color{red} {- 15} x \right) -{47\over8}}$ ・・・($\displaystyle {{5\over2}×(-6) = -15}$ より)
$= \displaystyle {-{1\over6} \left(x – {15\over2} \right)^2 -{225\over4} \cdot \left(-{1\over6} \right) -{47\over8}}$
$= \displaystyle {-{1\over6} \left(x – {15\over2} \right)^2 +{225\over24} -{47\over8}}$
$= \displaystyle {-{1\over6} \left(x – {15\over2} \right)^2 +{84\over24}}$
$= \displaystyle {-{1\over6} \left(x – {15\over2} \right)^2 +{7\over2}}$
(補足)
(5)で$15^2$の計算がイヤだな〜と一瞬でも感じた人は、できれば「(2桁)$^2$」の値を最初から覚えておくと楽です。
$11^2 = 121$
$12^2 = 144$
$13^2 = 169$
$14^2 = 196$
$15^2 = 225$
$16^2 = 256$
$17^2 = 289$
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【まとめ】分数でくくる平方完成は「逆数をかける」
最後に、今回のまとめです。
分数でくくるタイプ平方完成 は、
と考えればOK!
質問・要望があれば気軽にコメントください👍
参考:マイナスでくくる平方完成のやり方
$\displaystyle { y = \color{red}{−2}x^2 + 2x + 1}$ のように「$x^2$の係数が マイナス」のときの 平方完成 についてはこちら。
マイナスでくくるタイプの平方完成がうまくできない・・・ x²の係数がマイナス(負の値)のとき、くくり方がイマイチわからない どうやって平方完成すればいいのか分かりやすく教えてほしい! こういった要望に応えます。 &nbs[…]
参考:文字(定数)でくくる平方完成のやり方
$\displaystyle { y = \color{red}{a}x^2 + 2ax + 1}$ のように「$x^2$の係数が 文字」のときの 平方完成 についてはこちら。
aとかの文字(定数)でくくるタイプの平方完成がうまくできない・・・ x²の係数が文字(定数)のとき、くくり方がイマイチわからない どうやって平方完成すればいいのか分かりやすく教えてほしい! こういった要望に応えます。 &[…]