「2次関数の最大値・最小値を求める問題」で場合分けが5つになるパターンが全然分からない・・・
どうやって 5つに場合分けしたらいいの? 3つに分けるパターンとの違いを教えてほしい!
教科書や学校の授業だとよく理解できないから、わかりやすく解説してほしい!
こういったお悩みを解決します。
2次関数で場合分けが「5つ」のパターンになる問題 は、学校のテストや大学入試でもよく出るので
しっかり解けるようにしておかなければいけません。
にも関わらず、教科書や学校の授業は説明が分かりにくいために「2次関数の場合分けがニガテで、特に5つのパターンなんて全然わかんない・・・」という高校生・受験生はたくさんいます。
でも、大丈夫!
一見複雑に見えますが、2次関数の場合分けのやり方にはコツがあります!
このページを読めば、
「2次関数の最大値・最小値を求める問題」で場合分けが 5つ になるパターンの解き方がスッキリ分かります。
できる限り「丁寧」かつ「シンプルに」分かりやすく説明していきます!
【2次関数】場合分けが「5つ」のパターン【最大値・最小値の求め方】
まず「2次関数の最大値・最小値を求める問題」の場合分けにおける 最重要ポイントは
によって場合分けするということです。
そして、5つの場合分けで必要なのが
※ 求め方: $\displaystyle{ 中= { 左 + 右 \over 2 } } $
これらをしっかり頭に入れておけば、場合分けがスッキリ理解できるようになります。
2次関数が「下に凸」「上に凸」のパターンに分けて、それぞれ解説していきます。
【2次関数】場合分けが「5つ」のパターン(下に凸)
まずは「2次関数(下に凸)の最大値・最小値を求める問題」で「5つの場合分け」のパターンから見ていきましょう。
例えば、こんな問題
「最大値と最小値を同時に答えるような問題」で、5つの場合分けが登場します。
Point:「左」「頂点」「右」のうち、どこで最大・最小か?
に注目すると、以下の5つに場合分けされます。
最大値 | 最小値 | |
[1] | 左 | 右 |
[2] | 左 | 頂点 |
[3] | 左・右 | 頂点 |
[4] | 右 | 頂点 |
[5] | 右 | 左 |
$ $[1] 最大値が「左」、最小値が「右」(右<軸)
$ $[2] 最大値が「左」、最小値が「頂点」(中<軸≦右)
$ $[3] 最大値が「左・右」、最小値が「頂点」(軸=中)
$ $[4] 最大値が「右」、最小値が「頂点」(左≦軸<中)
$ $[5] 最大値が「右」、最小値が「左」(軸<左)
場合分けのしかたが整理できたところで、実際にこの問題をやってみましょう!
まずは平方完成して
「頂点」「軸」「上・下に凸」
を求めておきます。
【解答】
$ y = x^2 -2ax + a^2 + 1 $
$ $ $ = (x -a)^2 + 1 $
∴ $ \begin{cases}
頂点 \enspace (a, 1) \\
\\
軸:x = a \\
\\
下に凸 \\
\end{cases}$ の放物線。
定数aの値によって軸の位置が変わるので、場合分けをしなければいけませんね。
ここで場合分けに必要なのが
ここで、$0≦x≦2$ における中央の値は
$ $ $ \displaystyle{ { 0 + 2 \over 2 } = 1 } $
※ 求め方: $\displaystyle{ 中= { 左 + 右 \over 2 } } $
ここから、以下の5つに場合分けします。
$ $[1] 最大値が「左」
最小値が「右」(右<軸)
$ $[2] 最大値が「左」
最小値が「頂点」(中<軸≦右)
$ $[3] 最大値が「左・右」
最小値が「頂点」(軸=中)
$ $[4] 最大値が「右」
最小値が「頂点」(左≦軸<中)
$ $[5] 最大値が「右」
最小値が「左」(軸<左)
[1] 最大値が「左」、最小値が「右」(右<軸)
- 左($x=0$)で最大値
- 右($x=2$)で最小値
をとる場合、「右<軸」より「$2<a$」です。
簡単なグラフの書き方は、以下の手順になります。
① $x$軸、下に凸の放物線、放物線の軸 を用意する
② 右<軸 となるように「右($x=2$)」を書く
③ 「左($x=0$)」を書く
④ 放物線にプロットして、範囲を濃く塗る
⑤ 高さが最大・最小の点を読み取る
こんな感じです。
なので、[1]の場合 の解答は以下の通り。
$ $[1] $2<a$ のとき
$ $ $x = 0$ で 最大値 $a^2+1$
$ $ $x = 2$ で 最小値 $a^2-4a+5$
あとは、同じ要領で [2]〜[5]の場合も考えればOK!
[2] 最大値が「左」、最小値が「頂点」(中<軸≦右)
- 左($x=0$)で最大値
- 頂点($x=1$)で最小値
をとる場合、「中<軸≦右」より「$1<a≦2$」です。
「中」を考慮するときのグラフを書くコツは、上の手順で
② 中<軸 となるように「中($x=1$)」を書く
③ 左右のバランスを考えながら「左($x=0$)」「右($x=2$)」を書く
とするのがオススメ!
あとは同じ流れでグラフを書くと
$ $[2] $1<a≦2$ のとき
$ $ $x = 0$ で 最大値 $a^2+1$
$ $ $x = a$ で 最小値 $1$
[3] 最大値が「左・右」、最小値が「頂点」(軸=中)
- 左($x=0$)・右($x=2$)で最大値
- 頂点($x=1$)で最小値
をとる場合、「軸=中」より「$a=1$」です。
(左・右の高さが揃う)
$ $[3] $a=1$ のとき
$ $ $x = 0, 2 $ で 最大値 $a^2+1 = 2$($a=1$を代入)
$ $ $x =1 $ で 最小値 $1$
[4] 最大値が「右」、最小値が「頂点」(左≦軸<中)
- 右($x=2$)で最大値
- 頂点($x=a$)で最小値
をとる場合、「左≦軸<中」より「$0≦a<1$」です。
$ $[4] $0≦a<1$ のとき
$ $ $x = 2$ で 最大値 $a^2 -4a +5 $
$ $ $x = a$ で 最小値 $ 1 $
[5] 最大値が「右」、最小値が「左」(軸<左)
- 右($x=2$)で最大値
- 左($x=0$)で最小値
をとる場合、「軸<左」より「$a<0$」です。
$ $[5] $a<0$ のとき
$ $ $x = 2$ で 最大値 $a^2-4a+5$
$ $ $x = 0$ で 最小値 $a^2+1$
ここまでの解答をまとめると以下になります。
- 【解答】を見る
-
【解答】
$ y = x^2 -2ax + a^2 + 1 $
$ $ $ = (x -a)^2 + 1 $
∴ $ \begin{cases}
頂点 \enspace (a, 1) \\
\\
軸:x = a \\
\\
下に凸 \\
\end{cases}$ の放物線。ここで、$0≦x≦2$ における中央の値は
$ $ $ \displaystyle{ { 0 + 2 \over 2 } = 1 } $
よって、以下のように場合分けできる。
$ $[1] $2<a$ のとき
$ $ $x = 0$ で 最大値 $a^2+1$
$ $ $x = 2$ で 最小値 $a^2-4a+5$
$ $[2] $1<a≦2$ のとき
$ $ $x = 0$ で 最大値 $a^2+1$
$ $ $x = a$ で 最小値 $1$
$ $[3] $a=1$ のとき
$ $ $x = 0, 2 $ で 最大値 $a^2+1 = 2$($a=1$を代入)
$ $ $x =1 $ で 最小値 $1$
$ $[4] $0≦a<1$ のとき
$ $ $x = 2$ で 最大値 $a^2 -4a +5 $
$ $ $x = a$ で 最小値 $ 1 $
$ $[5] $a<0$ のとき
$ $ $x = 2$ で 最大値 $a^2-4a+5$
$ $ $x = 0$ で 最小値 $a^2+1$
$ $[1]〜[5]より、
最大値は
$ \begin{cases}
1<a \enspace のとき \enspace \enspace a^2+1 \enspace (x = 0) \\
\\
a=1 \enspace のとき \enspace \enspace 2 \enspace (x=0, 2) \\
\\
a<1 \enspace のとき \enspace \enspace a^2-4a+5 \enspace (x = 2) \\
\end{cases}$最小値は
$ \begin{cases}
2<a \enspace のとき \enspace \enspace a^2 -4a +5 \enspace (x = 2) \\
\\
0≦a≦2 \enspace のとき \enspace \enspace 1 \enspace (x=a) \\
\\
a<0 \enspace のとき \enspace \enspace a^2 + 1 \enspace (x = 0) \\
\end{cases}$ ・・・(注)(注)このようにまとめて答えてもいいし、別にまとめなくてもOK。
以上、下に凸のパターンでした。
【2次関数】場合分けが「5つ」のパターン(上に凸)
次は「2次関数(上に凸)の最大値・最小値を求める問題」で「5つの場合分け」のパターンを解説していきます。
例えば、こんな問題
「最大値と最小値を同時に答えるような問題」で、5つの場合分けが登場します。
Point:「左」「頂点」「右」のうち、どこで最大・最小か?
に注目すると、以下の5つに場合分けされます。
最大値 | 最小値 | |
[1] | 右 | 左 |
[2] | 頂点 | 左 |
[3] | 頂点 | 左・右 |
[4] | 頂点 | 右 |
[5] | 左 | 右 |
$ $[1] 最大値が「右」、最小値が「左」(右<軸)
$ $[2] 最大値が「頂点」、最小値が「左」(中<軸≦右)
$ $[3] 最大値が「頂点」、最小値が「左・右」(軸=中)
$ $[4] 最大値が「頂点」、最小値が「右」(左≦軸<中)
$ $[5] 最大値が「左」、最小値が「右」(軸<左)
場合分けのしかたが整理できたところで、実際にこの問題をやってみましょう!
まずは平方完成して
「頂点」「軸」「上・下に凸」
を求めておきます。
【解答】
$ y = -x^2 +2ax -a^2 -1 $
$ $ $ = -(x -a)^2 -1 $
∴ $ \begin{cases}
頂点 \enspace (a, -1 ) \\
\\
軸:x = a \\
\\
上に凸 \\
\end{cases}$ の放物線。
定数aの値によって軸の位置が変わるので、場合分けをしなければいけませんね。
ここで場合分けに必要なのが
ここで、$0≦x≦2$ における中央の値は
$ $ $ \displaystyle{ { 0 + 2 \over 2 } = 1 } $
※ 求め方: $\displaystyle{ 中= { 左 + 右 \over 2 } } $
ここから、以下の5つに場合分けします。
$ $[1] 最大値が「右」
最小値が「左」(右<軸)
$ $[2] 最大値が「頂点」
最小値が「左」(中<軸≦右)
$ $[3] 最大値が「頂点」
最小値が「左・右」(軸=中)
$ $[4] 最大値が「頂点」
最小値が「右」(左≦軸<中)
$ $[5] 最大値が「左」
最小値が「右」(軸<左)
[1] 最大値が「右」、最小値が「左」(右<軸)
- 右($x=2$)で最大値
- 左($x=0$)で最小値
をとる場合、「右<軸」より「$2<a$」です。
簡単なグラフの書き方は、以下の手順になります。
① $x$軸、上に凸の放物線、放物線の軸 を用意する
② 右<軸 となるように「右($x=2$)」を書く
③ 「左($x=0$)」を書く
④ 放物線にプロットして、範囲を濃く塗る
⑤ 高さが最大・最小の点を読み取る
こんな感じです。
なので、[1]の場合 の解答は以下の通り。
$ $[1] $2<a$ のとき
$ $ $x = 2$ で 最大値 $-a^2 +4a -5$
$ $ $x = 0$ で 最小値 $-a^2 -1$
あとは、同じ要領で [2]〜[5]の場合も考えればOK!
[2] 最大値が「頂点」、最小値が「左」(中<軸≦右)
- 頂点($x=a$)で最大値
- 左($x=0$)で最小値
をとる場合、「中<軸≦右」より「$1<a≦2$」です。
$ $[2] $1<a≦2$ のとき
$ $ $x = a$ で 最大値 $-1$
$ $ $x = 0$ で 最小値 $-a^2 -1$
[3] 最大値が「頂点」、最小値が「左・右」(軸=中)
- 頂点($x=a$)で最大値
- 左($x=0$)・右($x=2$)で最小値
をとる場合、「軸=中」より「$a=1$」です。
(左・右の高さが揃う)
$ $[3] $a=1$ のとき
$ $ $x = 1$ で 最大値 $-1$
$ $ $x = 0, 2$ で 最小値 $-a^2 -1 = -2$($a=1$を代入)
[4] 最大値が「頂点」、最小値が「右」(左≦軸<中)
- 頂点($x=a$)で最大値
- 右($x=2$)で最小値
をとる場合、「左≦軸<中」より「$0≦a<1$」です。
$ $[4] $0≦a<1$ のとき
$ $ $x = a$ で 最大値 $-1$
$ $ $x = 2$ で 最小値 $-a^2 +4a -5$
[5] 最大値が「左」、最小値が「右」(軸<左)
- 左($x=0$)で最大値
- 右($x=2$)で最小値
をとる場合、「軸<左」より「$a<0$」です。
$ $[5] $a<0$ のとき
$ $ $x = 0$ で 最大値 $-a^2 -1$
$ $ $x = 2$ で 最小値 $-a^2 +4a -5$
ここまでの解答をまとめると以下になります。
- 【解答】を見る
-
【解答】
$ $ $ y = -(x -a)^2 -1 $
∴ $ \begin{cases}
頂点 \enspace (a, -1 ) \\
\\
軸:x = a \\
\\
上に凸 \\
\end{cases}$ の放物線。ここで、$0≦x≦2$ における中央の値は
$ $ $ \displaystyle{ { 0 + 2 \over 2 } = 1 } $
よって、次のように場合分けできる。
$ $[1] $2<a$ のとき
$ $ $x = 2$ で 最大値 $-a^2 +4a -5$
$ $ $x = 0$ で 最小値 $-a^2 -1$
$ $[2] $1<a≦2$ のとき
$ $ $x = a$ で 最大値 $-1$
$ $ $x = 0$ で 最小値 $-a^2 -1$
$ $[3] $a=1$ のとき
$ $ $x = 1$ で 最大値 $-1$
$ $ $x = 0, 2$ で 最小値 $-a^2 -1 = -2$($a=1$を代入)
$ $[4] $0≦a<1$ のとき
$ $ $x = a$ で 最大値 $-1$
$ $ $x = 2$ で 最小値 $-a^2 +4a -5$
$ $[5] $a<0$ のとき
$ $ $x = 0$ で 最大値 $-a^2 -1$
$ $ $x = 2$ で 最小値 $-a^2 +4a -5$
$ $[1]〜[5]より、
最大値は
$ \begin{cases}
2<a \enspace のとき \enspace \enspace -a^2 +4a -5 \enspace (x = 2) \\
\\
0≦a≦2 \enspace のとき \enspace \enspace -1 \enspace (x=a) \\
\\
a<0 \enspace のとき \enspace \enspace -a^2 – 1 \enspace (x = 0) \\
\end{cases}$最小値は
$ \begin{cases}
1<a \enspace のとき \enspace \enspace -a^2-1 \enspace (x = 0) \\
\\
a=1 \enspace のとき \enspace \enspace -2 \enspace (x=0, 2) \\
\\
a<1 \enspace のとき \enspace \enspace -a^2 +4a -5 \enspace (x = 2) \\
\end{cases}$ ・・・(注)(注)このようにまとめて答えてもいいし、別にまとめなくてもOK。
以上です。お疲れ様でした!
補足1:場合分けでイコールをどっちにつければいいの?
2次関数の場合分けを生徒に教えているときに、よくある質問が
$ $[2] $1<a≦2$ のとき って、どうして「$0 < a\color{red}{<}2$」じゃなくて「$0 < a\color{red}{≦}2$」ってイコールが入ってるの?
$ $[1] $2<a$ 、[2] $1<a\color{red}{<}2$、・・・
ってイコールを抜いて場合分けしちゃダメなの?
というものです。
これに対する答えは「漏れやダブりがなければ、どっちにイコールを入れてもOK!」です。
なので、
$ $ × [1] $2\color{red}{<}a$ 、[2] $1<a\color{red}{<}2$、・・・
は、$a\color{red}{=}2$ のときが「漏れ」ているのでダメですが、
$ $ ○ [1] $ 2 \color{red}{≦}a $、[2] $0 < a \color{red}{<} 2$、・・・
という場合分けのしかたは全く問題ありません。
補足2:最大値M(a)、最小値m(a)のグラフをかく問題
上の解答で「最大値と最小値を分けて答えてもOKだし、まとめて答えてもOK」と書きましたが、例外があります。
それは「最大値 M(a)、最小値 m(a) のグラフをかけ」というタイプの問題です。
例えば、もし 上の「例題1」が
こんな問題だったら、最大値・最小値は分けて書いておかないとグラフがかけませんね。
【解答】
・・・
$ $[1]〜[5]より、
最大値は
$ $ $M(a) = $ $ \begin{cases}
1<a \enspace のとき \enspace \enspace a^2+1 \enspace (x = 0) \\
\\
a=1 \enspace のとき \enspace \enspace 2 \enspace (x=0, 2) \\
\\
a<1 \enspace のとき \enspace \enspace a^2-4a+5 \enspace (x = 2) \\
\end{cases}$
最小値は
$ $ $m(a) = $ $ \begin{cases}
2<a \enspace のとき \enspace \enspace a^2 -4a +5 \enspace (x = 2) \\
\\
0≦a≦2 \enspace のとき \enspace \enspace 1 \enspace (x=a) \\
\\
a<0 \enspace のとき \enspace \enspace a^2 + 1 \enspace (x = 0) \\
\end{cases}$
したがって、それぞれのグラフは下図の実線部分。
と、こんな流れです。
【まとめ】2次関数の場合分けが「5つ」のパターン【最大値・最小値の求め方】
最後にまとめです。
「2次関数の最大値・最小値を求める問題」の場合分けにおける最重要ポイントは
によって場合分けするということ。
そして、5つの場合分けで必要なのが
※ 求め方: $\displaystyle{ 中= { 左 + 右 \over 2 } } $
似たような問題をたくさん解いて、2次関数の場合分けに慣れておきましょう!
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