「解と係数の関係」っていつ使うの?
覚え方・使い方(使える条件)をわかりやすく教えてほしい!
テストによく出る問題、便利な解法テクニックを学びたい!
こういった要望に応えます。
「解と係数の関係」は学校の授業ではサラーっとやって終わりというレベルにも関わらず、
忘れた頃に「ここは解と係数の関係を使うとラクにできるよね〜」みたいにふと使ったりするので、
いつ使うのか?どんな問題で使うのか?がよく分かっていない人が多くいます。
だけど、それではもったいない!
「解と係数の関係」を使いこなせると、色んな問題がラクに解けるようになる 強力な武器 になります。
そこで今回は
- 「解と係数の関係」の覚え方
- 「解と係数の関係」をいつ使うのか?
- 「解と係数の関係」を使って解く問題(基本・応用)
をわかりやすく解説します。
- 1 解と係数の関係とは?
- 2 【解と係数の関係】覚え方・証明
- 3 【解と係数の関係】いつ使うのか?条件は?
- 4 「解と係数の関係」を使って解く問題【基本】
- 5 「解と係数の関係」を使って解く問題【応用】
- 6 【まとめ】解と係数の関係
- 7 参考:3次方程式の解と係数の関係
- 8 参考:2次方程式が虚数解をもつパターンの問題
解と係数の関係とは?
「解と係数の関係」は次の通り。
2次方程式 $ ax^2 + bx + c = 0 $ の 2解 を $\alpha , \ \beta $ とすると
$ \begin{cases}
\displaystyle{ 和: \alpha + \beta = \color{red}{−}{ b \over a } } \enspace \color{red}{←(−)に注意!} \\
\\
\displaystyle{ 積: \alpha \beta = { c \over a } } \\
\end{cases}$
使い方(例)
2次方程式 $ \color{red}{6}x^2 \color{blue}{−13}x \color{green}{+5} = 0 $
※ $ a = 6, \ b = −13, \ c = 5 $
で考えると
と因数分解できるので、2解は
となります。
$ \displaystyle{ \alpha = {1 \over 2} , \ \beta = {5 \over 3} } $ とすると
$ \begin{cases}
\displaystyle{ 和: \alpha + \beta = {1 \over 2} + {5 \over 3} = {13 \over 6 } \left( = −{ \color{blue}{b} \over \color{red}{a} } \right) } \\
\\
\displaystyle{ 積: \alpha \beta = {1 \over 2} \cdot {5 \over 3} = {5 \over 6} \left( = { \color{green}{c} \over \color{red}{a} } \right) } \\
\end{cases}$
※ $ \color{red}{a} = \color{red}{6}, \ \color{blue}{b} = \color{blue}{−13}, \ \color{green}{c} = \color{green}{5} $
確かに「解と係数の関係」が成り立っていますね。
【解と係数の関係】覚え方・証明
「解と係数の関係」を覚えるためには、証明の流れをイメージすることが大切です。
【証明】
2次方程式 $ \color{red}{a}x^2 + \color{blue}{b}x + \color{green}{c} = 0 $ ・・・①
の 2解を $\alpha , \ \beta $ とする。
① を因数分解したときに
$ $ $ \color{red}{a} (x−\alpha)(x−\beta) = 0 $
となるはずなので、両辺を $\color{red}{a}(\ne 0)$ で割ると
$ $ $ (x−\alpha)(x−\beta) = 0 $
∴ $ x^2−( \alpha +\beta) x + \alpha\beta = 0 $ ・・・②
また、① の両辺を $\color{red}{a}(\ne 0)$ で割ると
$ $ $ \displaystyle{ x^2 + {\color{blue}{b} \over \color{red}{a} }x + { \color{green}{c} \over \color{red}{a} } = 0 } $ ・・・③
②、③ が一致することより、係数を比較して
$ \begin{cases}
\displaystyle{ −( \alpha +\beta) = {\color{blue}{b} \over \color{red}{a} } } \\
\\
\displaystyle{ \alpha\beta = { \color{green}{c} \over \color{red}{a} } } \\
\end{cases}$
よって
$ \begin{cases}
\displaystyle{ 和: \alpha + \beta = −{ \color{blue}{b} \over \color{red}{a} } } \\
\\
\displaystyle{ 積: \alpha \beta = { \color{green}{c} \over \color{red}{a} } } \\
\end{cases}$ $ $ [終]
この流れを見ると、なぜ「和」と「積」の分母に $\color{red}{a}$ が来るのか?が理解できると思います。
あとは「和」の「$−$」を忘れずにつけましょう。
【解と係数の関係】いつ使うのか?条件は?
「解と係数の関係」をいつ使うのか?
使い方のパターン・条件は、おおよそ以下の2つかなと思います。
2解の対称式を求める問題
問題文に
とあったら、ほぼ確実に「解と係数の関係」を使って解くことができます。
2数の和と積(基本対称式)
あるいは、問題を解いている途中で
のような「基本対称式(2数の和と積)」の形が出たら、「解と係数の関係」より
のように、$t$ などの別の文字で表すこともできます。
「解と係数の関係」を使って解く問題【基本】
さっそく「解と係数の関係」を使って解く問題を見てみましょう。
まずは基本問題からスタート!
【例題1-1】2次方程式 $ 2x^2 −3x −5 = 0 $ の2つの解を $ \alpha , \ \beta $ とするとき、次の式の値を求めよ。
(1) $ \alpha + \beta $
(2) $ \alpha \beta $
(3) $ \alpha^2 + \beta^2 $
(4) $ \alpha^3 + \beta^3 $
「解と係数の関係」と「対称式」が絡む問題です。
対称式について、おさらいしたい人はこちら。
対称式・交代式の解き方がよくわからない そもそも対称式って何? 対称式のわかりやすい解説が聞きたい! 今回はこういった疑問・要望にお答えします。 対称式(交代式)の問題は、解法が完全にパターン化されています(やり方が決ま[…]
それでは解いていきましょう!
(1) $ \alpha + \beta $
(1)、(2) については、「解と係数の関係」をそのまま使えばOK。
ちなみに、「和:$\alpha + \beta$」と「積:$\alpha \beta$」 の2つは「基本対称式」と言います。
【解答】
解と係数の関係より
$ $ $ \displaystyle{ \alpha + \beta = \color{red}{−}{−3 \over 2} = {3 \over 2} } $
「$\color{red}{−}$」を忘れずに!
(2) $ \alpha \beta $
【解答】
$ \displaystyle{ \alpha \beta = {−5 \over 2} =−{5 \over 2} } $
(3) $ \alpha^2 + \beta^2 $
「対称式の公式(2乗)」を使います。
$x^2 + y^2 = (x + y)^2 − 2xy$
【解答】
$ \alpha^2 + \beta^2 = (\alpha + \beta)^2 − 2 \alpha \beta $
$ $ $ \displaystyle{ = \left( {3 \over 2} \right)^2 − 2 \cdot \left( −{5 \over 2} \right) } $
$ $ $ \displaystyle{ = {9 \over 4} + 5 } $
$ $ $ \displaystyle{ = {29 \over 4} } $
上の解法が一番ラクかな〜と思いますが、
別解として「次数下げ」を利用するやり方も紹介しておきます。
- 【別解】を見る
-
【別解】
2次方程式 $ 2x^2 −3x −5 = 0 $ の2解が $ \alpha , \ \beta $ なので
$ $ $ \begin{cases}
2\alpha^2 −3\alpha −5 = 0 \\
\\
2\beta^2 −3\beta −5 = 0 \\
\end{cases}$∴ $ \begin{cases}
2\alpha^2 = 3\alpha + 5 \\
\\
2\beta^2 = 3\beta + 5 \\
\end{cases}$ ・・・(注)辺々を足して
$ $ $ 2\alpha^2 + 2\beta^2 = 3\alpha + 3\beta + 10 $
∴ $ 2 \left(\alpha^2 + \beta^2 \right) = 3 (\alpha + \beta) + 10 $
これに $ \displaystyle{ \alpha + \beta = {3 \over 2} } $ を代入して
$ $ $ \displaystyle{ 2 \left(\alpha^2 + \beta^2 \right) = 3 \cdot {3 \over 2} + 10 } $
∴ $ \displaystyle{ 2 \left(\alpha^2 + \beta^2 \right) = {29 \over 2} } $
∴ $ \displaystyle{ \alpha^2 + \beta^2 = {29 \over 4} } $
(注)$ 2\alpha^2 = 3\alpha + 5 $ を見ると、$\alpha$ について
$ $ $ (2次式)=(1次式)$ となっています。
$ $ つまり、 (2次式)を(1次式)に変換できるわけです。
「次数下げ」が必要になるパターンもあるので、使えるようにしておきましょう。
(4) $ \alpha^3 + \beta^3 $
今度は「対称式の公式(3乗)」を使います。
$x^3 + y^3 = (x + y)^3 − 3xy(x + y)$
【解答】
$ \alpha^3 + \beta^3 = (\alpha + \beta)^3 − 3 \alpha \beta (\alpha + \beta) $
$ $ $ \displaystyle{ = \left( {3 \over 2} \right)^3 − 3 \cdot \left( −{5 \over 2} \right) \cdot \left( {3 \over 2} \right) } $
$ $ $ \displaystyle{ = {27 \over 8} + {45 \over 4} } $
$ $ $ \displaystyle{ = {117 \over 8} } $
この問題も、別解として「次数下げ」を利用してやってみましょう。
- 【別解】を見る
-
【別解】
$ 2 \alpha^2 = 3\alpha + 5 $ より
$ $ $ \displaystyle{ \alpha^2 = {3 \over 2} \alpha + {5 \over 2} } $ ・・・①
両辺に $ \alpha $ をかけて
$ $ $ \displaystyle{ \alpha^3 = {3 \over 2} \alpha^2 + {5 \over 2} \alpha } $
$ $ $ \displaystyle{ = {3 \over 2} \left( {3 \over 2} \alpha + {5 \over 2} \right) + {5 \over 2} \alpha } $(① を代入)
$ $ $ \displaystyle{ = {9 \over 4} \alpha + {15 \over 4} + {5 \over 2} \alpha } $
∴ $ \displaystyle{ \alpha^3 = {19 \over 4} \alpha + {15 \over 4} } $ ・・・②
同様にして
$ $ $ \displaystyle{ \beta^3 = {19 \over 4} \beta + {15 \over 4} } $ ・・・③
②、③ の辺々を足して
$ $ $ \displaystyle{ \alpha^3 + \beta^3 = {19 \over 4} \left( \alpha + \beta \right) + {15 \over 2} } $
$ $ $ \displaystyle{ = {19 \over 4} \cdot \left( {3 \over 2} \right) + {15 \over 2} } $
$ $ $ \displaystyle{ = {117 \over 8} } $
地道な計算がいりますが、確実に答えが出せるやり方ですね。
【例題1-2】$k$ を実数とし、2次方程式 $ x^2 +2kx +k = 0 $ の 2つの解を $\alpha , \ \beta$ とする。2次方程式 $ x^2 −4(k+7)x + 4 = 0 $ が 2つの解 $ \alpha^2 , \ \beta^2 $ をもつとき、$k$ の値を求めよ。 [類 18 立教大]
2つの 2次方程式 それぞれに「解と係数の関係」を使うと上手くいきます。
自力で解けるかチャレンジしてみましょう!
- 【解答】を見る
-
【解答】
2次方程式 $ x^2 +2kx +k = 0 $ の 2解が $\alpha , \ \beta$ なので
解と係数の関係より
$ $ $ \begin{cases}
\displaystyle{ \alpha + \beta = −2k } \\
\\
\displaystyle{ \alpha \beta = k } \\
\end{cases}$ ・・・①2次方程式 $ x^2 −4(k+7)x + 4 = 0 $ の 2解が $ \alpha^2 , \ \beta^2 $ なので
解と係数の関係より
$ $ $ \begin{cases}
\displaystyle{ \alpha^2 + \beta^2 = 4(k+7) } \\
\\
\displaystyle{ \alpha^2 \beta^2 = 4 } \\
\end{cases}$ ・・・②よって
$ $ $ \begin{cases}
\displaystyle{ \alpha^2 + \beta^2 = ( \alpha + \beta )^2 −2 \alpha \beta } \\
\\
\displaystyle{ \alpha^2 \beta^2 = (\alpha \beta)^2 } \\
\end{cases}$に ①、② を代入して
$ $ $ \begin{cases}
\displaystyle{ 4(k+7) = (−2k)^2 −2 k } \\
\\
\displaystyle{ 4 = k^2 } \\
\end{cases}$∴ $ \begin{cases}
\displaystyle{ 2k^2 −3k −14 = 0 } \, ・・・③ \\
\\
\displaystyle{ k^2 = 4 } \, ・・・④ \\
\end{cases}$④ を ③ に代入して
$ $ $ 2 \cdot 4 −3k −14 = 0 $
∴ $ k = −2 $
以上、基本問題でした。
「解と係数の関係」を使って解く問題【応用】
次は「解と係数の関係」を使って解く問題(応用)です。
色んな解法パターンが学べる良問にしたので、ぜひ最後まで読んでみてください。
【例題2】2次方程式 $ x^2 −x − 1 = 0 $ の 2つの解を $ \alpha , \ \beta $ とするとき、次の値を求めよ。
(1) $ \alpha^{2} + \beta^{2} $
(2) $ \alpha^{3} + \beta^{3} $
(3) $ \alpha^{5} + \beta^{5} $
(4) $ \alpha^{100} + \beta^{100} $ を $5$ で割ったときの余り
(1) $ \alpha^{2} + \beta^{2} $
まずは「対称式の公式」を使った解法から。
- 【解答】を見る
-
【解答】
解と係数の関係より
$ $ $ \begin{cases}
\displaystyle{ \alpha + \beta = 1 } \\
\\
\displaystyle{ \alpha \beta = −1 } \\
\end{cases}$∴ $ \alpha^{2} + \beta^{2} = ( \alpha + \beta )^2 − 2 \alpha \beta $
$ $ $ = 1^2 − 2 \cdot ( −1 ) $
$ $ $ = 3 $
次に「次数下げ」を利用した 別解 です。
- 【別解】を見る
-
【別解】
解と係数の関係より
$ $ $ \begin{cases}
\displaystyle{ \alpha + \beta = 1 } \\
\\
\displaystyle{ \alpha \beta = −1 } \\
\end{cases}$ ・・・①2次方程式 $ x^2 −x − 1 = 0 $ の 2解が $ \alpha , \ \beta $ なので
$ $ $ \begin{cases}
\displaystyle{ \alpha^2 −\alpha − 1 = 0 } \\
\\
\displaystyle{ \beta ^2 −\beta − 1 = 0 } \\
\end{cases}$∴ $ \begin{cases}
\displaystyle{ \alpha^2 = \alpha + 1 } \\
\\
\displaystyle{ \beta^2 = \beta + 1 } \\
\end{cases}$辺々を足して
$ $ $ \alpha^2 + \beta^2 = \alpha + \beta + 2 $
$ $ $ = 1 + 2 $(① を代入)
$ $ $ = 3 $
(2) $ \alpha^{3} + \beta^{3} $
「対称式の公式」で解いてみます。
- 【解答】を見る
-
【解答】
$ \alpha^{3} + \beta^{3} = ( \alpha + \beta )^3 − 3 \alpha \beta ( \alpha + \beta ) $
$ $ $ = 1^3 − 3 \cdot (−1) \cdot 1 $
$ $ $ = 4 $
別解:「次数下げ」
- 【別解】を見る
-
【別解】
$ \displaystyle{ \alpha^2 = \alpha + 1 } $
両辺に $ \alpha $ をかけて
$ $ $ \displaystyle{ \alpha^3 = \alpha^2 + \alpha } $ ・・・②
同様にして
$ $ $ \displaystyle{ \beta^3 = \beta^2 + \beta } $ ・・・③
②、③ の辺々を足して
$ $ $ \displaystyle{ \alpha^3 + \beta^3 = \left( \alpha^2 + \beta^2 \right) + ( \alpha + \beta ) } $
$ $ $ \displaystyle{ = 3 + 1 } $((1)、① より)
$ $ $ \displaystyle{ = 4 } $
この別解では、あえて $(3次式)=(1次式)$ の形にしませんでした。
$(3次式)=(2次式)$ で止めといた方が、計算がちょっとラクになるからです。
(3) $ \alpha^{5} + \beta^{5} $
5乗ってどうやって作るの? と考えると
「5乗 = 2乗 × 3乗」で作れそうですね。
$ $ $ x^5 + y^5 = \left( x^2 + y^2 \right) \left( x^3 + y^3 \right) − x^3 y^2 −x^2 y^3 $
$ $ $ = \left( x^2 + y^2 \right) \left( x^3 + y^3 \right) −x^2 y^2 \left( x + y \right)$
これは「対称式の公式」として覚えておきましょう。
- 【解答】を見る
-
【解答】
$ \alpha^5 + \beta^5 = \left( \alpha^2 + \beta^2 \right) \left( \alpha^3 + \beta^3 \right) −\alpha^2 \beta^2 ( \alpha + \beta ) $
$ $ $ = 3 \cdot 4 −(−1)^2 \cdot 1 $((1)、(2)、① より)
$ $ $ = 11 $
別解:「次数下げ」
- 【別解】を見る
-
【別解】
② の両辺に $ \alpha $ をかけて
$ $ $ \alpha^4 = \alpha^3 + \alpha^2 $
同様にして
$ $ $ \beta^4 = \beta^3 + \beta^2 $
辺々を足して
$ $ $ \alpha^4 + \beta^4 = \left( \alpha^3 + \beta^3 \right) + \left( \alpha^2 + \beta^2 \right) $
$ $ $ = 4 + 3 $((1)、(2) より)
$ $ $ = 7 $ ・・・④
同様にして
$ $ $ \alpha^5 + \beta^5 = \left( \alpha^4 + \beta^4 \right) + \left( \alpha^3 + \beta^3 \right) $
$ $ $ = 7 + 4 $((2)、④ より)
$ $ $ = 11 $
ここまでは、何てことはない ただの「対称式」「次数下げ」の問題でしたが、次は少し難しくなります。
(4) $ \alpha^{100} + \beta^{100} $ を $5$ で割ったときの余り
この問題は「対称式」を使った解法だと計算が果てしなく、現実的ではありません。
なので、「次数下げ」で解いてみます。
- 【解答】を見る
-
【解答】
$ \alpha^6 + \beta^6 = \left( \alpha^5 + \beta^5 \right) + \left( \alpha^4 + \beta^4 \right) $
$ $ $ = 11 + 7 $
$ $ $ = 18 $
$5$ を法とする合同式を考えると
$ $ $ \alpha^1 + \beta^1 = 1 \equiv 1 \pmod 5 $
$ $ $ \alpha^2 + \beta^2 = 3 \equiv 3 \pmod 5 $
$ $ $ \alpha^3 + \beta^3 = 4 \equiv 4 \pmod 5 $
$ $ $ \alpha^4 + \beta^4 = 7 \equiv 2 \pmod 5 $
$ $ $ \alpha^5 + \beta^5 = 11 \equiv 1 \pmod 5 $
$ $ $ \alpha^6 + \beta^6 = 18 \equiv 3 \pmod 5 $
$ $ $ \vdots $
よって、$5$ で割ったときの余りは「$1, \ 3, \ 4, \ 2$」が繰り返されるので
$ 100 ÷ 4 = 25 $ より
$ $ $ \alpha^{100} + \beta^{100} \equiv 2 \pmod 5 $
したがって、求める余りは $2$
$5$ で割った余りについての規則性(循環)に気付けると答えに辿りつきます。
なお、合同式(mod)についておさらいしたい人はこちら。
合同式(mod)の定義や性質から、計算のやり方までわかりやすく教えてほしい! 合同式(mod)の計算を、例題を通して学びたい! 整数や不定方程式の応用・入試問題を合同式(mod)で解けるようになりたい! こういった要望に応えま[…]
補足:(1)〜(3) の誘導がなかったら
もし仮に (1)〜(3) の誘導がなかった場合、(4) は実はもっとラクに解く方法があります。
それは、数学B「数列」の 漸化式(ぜんかしき)にうまく持ち込むやり方です。
- 【別解】を見る
-
【別解】
解と係数の関係より
$ $ $ \begin{cases}
\displaystyle{ \alpha + \beta = 1 } \\
\\
\displaystyle{ \alpha \beta = −1 } \\
\end{cases}$ ・・・①2次方程式 $ x^2 −x − 1 = 0 $ の 2解が $ \alpha , \ \beta $ なので
$ $ $ \begin{cases}
\displaystyle{ \alpha^2 −\alpha − 1 = 0 } \\
\\
\displaystyle{ \beta ^2 −\beta − 1 = 0 } \\
\end{cases}$∴ $ \begin{cases}
\displaystyle{ \alpha^2 = \alpha + 1 } \\
\\
\displaystyle{ \beta^2 = \beta + 1 } \\
\end{cases}$辺々を足して
$ $ $ \alpha^2 + \beta^2 = \alpha + \beta + 2 $
∴ $ \alpha^2 + \beta^2 = \left( \alpha^1 + \beta^1 \right) + \left( \alpha^0 + \beta^0 \right) $ ・・・(注1)
ここで、$ a_n = \alpha^n + \beta^n $ とおくと
$ $ $ a_2 = a_1 + a_0 $ ・・・(注2)
よって、数列 $ \{ a_n \} $ は
$ $ $ \begin{cases}
a_{n+2} = a_{n+1} + a_{n} \\
\\
a_0 = 2 \\
\\
a_1 = 1 (① より)\\
\end{cases}$をみたす。
$5$ を法とする合同式を考えると
$ $ $ a_1 \equiv 1 \pmod 5 $
$ $ $ a_2 = a_1 + a_0 \equiv 3 \pmod 5 $
$ $ $ a_3 = a_2 + a_1 \equiv 4 \pmod 5 $
$ $ $ a_4 = a_3 + a_2 \equiv 7 \equiv 2 \pmod 5 $
$ $ $ a_5 = a_4 + a_3 \equiv 6 \equiv 1 \pmod 5 $
$ $ $ a_6 = a_5 + a_4 \equiv 3 \pmod 5 $
$ $ $ \vdots $
よって、$5$ で割ったときの余りは「$1, \ 3, \ 4, \ 2$」が繰り返されるので
$ 100 ÷ 4 = 25 $ より
$ $ $ a_{100} = \alpha^{100} + \beta^{100} \equiv 2 \pmod 5 $
したがって、求める余りは $2$
(注1)$ \alpha^0 = 1, \ \beta^0 = 1 $ と変形するのがポイント!
(注2)「$ a_0 $ と $ a_1 $ を足したら 次の項 $ a_2 $ になる」という操作が繰り返される 3項間漸化式
なんと「対称式」も「次数下げ」の計算も必要ない、裏ワザのような解法テクニックです。
思いついたら素早く解けるので、ぜひマスターしてみてください!
【まとめ】解と係数の関係
最後に「解と係数の関係」をまとめておきます。
2次方程式 $ ax^2 + bx + c = 0 $ の 2解 を $\alpha , \ \beta $ とすると
$ \begin{cases}
\displaystyle{ 和: \alpha + \beta = \color{red}{−}{ b \over a } } \enspace \color{red}{←(−)に注意!} \\
\\
\displaystyle{ 積: \alpha \beta = { c \over a } } \\
\end{cases}$
参考:3次方程式の解と係数の関係
「3次方程式の解と係数の関係」の覚え方・使い方がよく分からない どんな問題のときに使ったらいいの? こういった疑問に答えます。 「3次方程式の 解と係数の関係」を使って解く問題は、国公立大・私立大 ともに入[…]
参考:2次方程式が虚数解をもつパターンの問題
2次方程式・3次方程式が虚数解をもつパターンの問題で「解と係数の関係」をどう使ったらいいの? 解き方をわかりやすく教えてほしい! こういった要望に応えます。 2次方程式・3次方程式が 虚数解 をもつパターン[…]
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