「隣接3項間の漸化式」に0以外の定数項が含まれるときってどうすればいいの?
特性方程式の作り方、解法パターンをわかりやすく教えてほしい!
こんなお悩みを解決します。
「隣接3項間の漸化式」に 0以外の定数項 が含まれるパターンの問題($ a_{n+2} + p a_{n+1} + q a_n = \color{red}{r} $)は、国公立大・難関私立大の入試で出題されることがあります。
今回は、このパターンの解法をわかりやすく解説します。
なお、ふつうの「隣接3項間の漸化式($ a_{n+2} + p a_{n+1} + q a_n = 0 $)」の解法についてはこちら。
「隣接3項間の漸化式」の解法パターンを完璧にしたい! 特性方程式が重解をもつ or もたないか?で解法がどう変わるの? 具体的な解法ステップをわかりやすく丁寧に教えてほしい! こういった要望に応えます。 […]
- 1 【隣接3項間の漸化式】0以外の定数項を含むパターンの解法は2つ!
- 2 【隣接3項間の漸化式】0以外の定数項を含むパターンの解法1
- 2.1 解答の流れ
- 2.2 【例題】条件 $ a_1 = 1,$ $ a_2 = 6 ,$ $ a_{n+2} + a_{n+1} −6 a_n = 4 $ によって定められる数列 $ \{ a_n \} $ の一般項を求めよ。
- 2.2.1 【手順①】特性方程式 $ c + pc + qc = r $ を解く
- 2.2.2 【手順②】隣接3項間の漸化式(定数項r)を変形する
- 2.2.3 【手順③】$ a_{n} −c = b_{n} $ とおく
- 2.2.4 【手順④】特性方程式 $ x^2 + px + qx = 0 $ を解く
- 2.2.5 【手順⑤】隣接3項間の漸化式(定数項0)を変形する(2通り)
- 2.2.6 【手順⑥】数列 $ \{ b_{n+1} −\alpha b_{n} \}$, $ \{ b_{n+1} −\beta b_{n} \}$ の一般項を求める
- 2.2.7 【手順⑦】手順⑥で求めた一般項の辺々を引く
- 2.2.8 【手順⑧】$ a_{n} −c = b_{n} $ を戻す
- 3 【隣接3項間の漸化式】0以外の定数項を含むパターンの解法2
- 3.1 解答の流れ
- 3.2 【例題】条件 $ a_1 = 1,$ $ a_2 = 6 ,$ $ a_{n+2} + a_{n+1} −6 a_n = 4 $ によって定められる数列 $ \{ a_n \} $ の一般項を求めよ。
- 3.2.1 【手順①】特性方程式 $ x^2 + px + q = 0 $ を解く
- 3.2.2 【手順②】隣接3項間の漸化式(定数項r)を変形する(2通り)
- 3.2.3 【手順③】$ a_{n+1} − \alpha a_{n} = b_{n} ,$ $ a_{n+1} − \beta a_{n} = c_{n} $ とおく
- 3.2.4 【手順④】数列 $ \{ b_{n} \}$, $ \{ c_{n} \}$ の一般項を求める
- 3.2.5 【手順⑤】$ a_{n+1} − \alpha a_{n} = b_{n} ,$ $ a_{n+1} − \beta a_{n} = c_{n} $ を戻す
- 3.2.6 【手順⑥】手順⑤で求めた一般項の辺々を引く
- 4 【まとめ】隣接3項間の漸化式 0以外の定数項を含むパターンの解法2つ!
- 5 【隣接3項間の漸化式】特性方程式でなぜ解けるの?
【隣接3項間の漸化式】0以外の定数項を含むパターンの解法は2つ!
「隣接3項間の漸化式」に 0以外の定数項 が含まれるパターン($ a_{n+2} + p a_{n+1} + q a_n = r $)の解法は2通りあります。
解答の入口で
あるいは
とスタートするかの2通りです。
難易度・手間を比べても、どちらの解法でやってもあまり差はないように思います。
問題文に特に誘導がなければ、好きな方で解けばOKです。
【隣接3項間の漸化式】0以外の定数項を含むパターンの解法1
解答の流れ
細かく手順を分けると以下のようになります。
- 特性方程式 $ c + pc + qc = r $ を解く
- 隣接3項間の漸化式(定数項r)を変形する
- $ a_{n} −c = b_{n} $ とおく
- 特性方程式 $ x^2 + px + qx = 0 $ を解く
- 隣接3項間の漸化式(定数項0)を変形する(2通り)
- 数列 $ \{ b_{n+1} −\alpha b_{n} \}$, $ \{ b_{n+1} −\beta b_{n} \}$ の一般項を求める
- 手順⑥で求めた一般項の辺々を引く
- $ a_{n} −c = b_{n} $ を戻す
※ 手順① は「$ (a_{n+2} − c) + p(a_{n+1}− c) +q(a_{n}− c) = 0 $ をみたす 定数 $c$ を見つける」と同じ意味
【例題】条件 $ a_1 = 1,$ $ a_2 = 6 ,$ $ a_{n+2} + a_{n+1} −6 a_n = 4 $ によって定められる数列 $ \{ a_n \} $ の一般項を求めよ。
【手順①】特性方程式 $ c + pc + qc = r $ を解く
【解答1】
隣接3項間の漸化式
$ $ $ a_{n+2} + a_{n+1} −6 a_n = 4 $ ・・・①
の特性方程式 $ c + c −6c = 4 $ を解くと
$ $ $ c = −1 $
(注)この特性方程式は何のために作ったのか?というと
$ $ $ (a_{n+2} − c) + (a_{n+1}− c) −6 (a_{n}− c) = \color{red}{0} $
をみたす 定数 $c$ を見つけるためです。
$ b_n = a_n − c \ (c:定数)$ とすると
$ $ $ \begin{cases}
a_{n} = b_{n} + c \\
\\
a_{n+1} = b_{n+1} + c \\
\\
a_{n+2} = b_{n+2} + c \\
\end{cases} $
より、漸化式① に代入して
$ $ $ ( b_{n+2} + c ) + ( b_{n+1} + c ) −6 ( b_{n} + c ) = 4 $
∴ $ b_{n+2} + b_{n+1} −6 b_{n} = \color{red}{4 + 4c} $
$ \color{red}{4 + 4c} = 0 $ とすると $ c = −1 $
よって、漸化式① は
$ $ $ (a_{n+2} +1) + (a_{n+1}+1) −6 (a_{n}+1) = \color{red}{0} $
と変形できるわけです。
【手順②】隣接3項間の漸化式(定数項r)を変形する
なので、漸化式① は
$ $ $ (a_{n+2} +1) + (a_{n+1}+1) −6 (a_{n}+1) = \color{red}{0} $
と変形できる。
【手順③】$ a_{n} −c = b_{n} $ とおく
$ a_{n} + 1 = b_{n} $ とおくと
$ $ $ \underbrace{ (a_{n+2} +1) }_{ b_{n+2} } + \underbrace{ (a_{n+1}+1) }_{ b_{n+1} } −6 \, \underbrace{ (a_{n}+1) }_{ b_{n} } = 0 $
∴ $ b_{n+2} + b_{n+1}−6b_{n} = 0 $ ・・・②
【手順④】特性方程式 $ x^2 + px + qx = 0 $ を解く
さらに、特性方程式 $ x^2 + x −6 = 0 $ を解くと
$ $ $ (x+3) (x−2) = 0 $
∴ $ x = −3 , \ 2 $
$ b_{n+2} + b_{n+1}−6b_{n} = 0 $ は、ふつうの「隣接3項間の漸化式(定数項0)」になっています。
ここから先は、以下の記事に書いてあるパターンの解法に持ち込めばOK。
「隣接3項間の漸化式」の解法パターンを完璧にしたい! 特性方程式が重解をもつ or もたないか?で解法がどう変わるの? 具体的な解法ステップをわかりやすく丁寧に教えてほしい! こういった要望に応えます。 […]
【手順⑤】隣接3項間の漸化式(定数項0)を変形する(2通り)
なので、漸化式② は次の2通りに変形できる。
$ $ $ \begin{cases}
b_{n+2} + 3 b_{n+1} = 2 \left( b_{n+1} + 3 b_n \right) \, ・・・③ \\
\\
b_{n+2} −2 b_{n+1} = −3 \left( b_{n+1} −2 b_n \right) \, ・・・④ \\
\end{cases} $
【手順⑥】数列 $ \{ b_{n+1} −\alpha b_{n} \}$, $ \{ b_{n+1} −\beta b_{n} \}$ の一般項を求める
③ より、$ \{ b_{n+1} + 3 b_{n} \}$ は
$ $ $ \begin{cases}
初項 \, b_{2} + 3 b_{1} = (a_{2} + 1) + 3 (a_{1}+1) = 13 \\
\\
公比 \, 2 \\
\end{cases} $
の等比数列。
④ より、$ \{ b_{n+1} −2 b_{n} \}$ は
$ $ $ \begin{cases}
初項 \, b_{2} −2 b_{1} = (a_{2} + 1) −2 (a_{1}+1) = 3 \\
\\
公比 \, −3 \\
\end{cases} $
の等比数列。
よって
$ $ $ \begin{cases}
b_{n+1} + 3 b_{n} = 13 \cdot 2^{n-1} \, ・・・⑤ \\
\\
b_{n+1} −2 b_{n} = 3 \cdot (−3)^{n-1} \, ・・・⑥ \\
\end{cases} $
(注)初項 $a$, 公比 $r$ の等比数列 $ \{a_n\} $ の一般項は $ ar^{n-1}$
【手順⑦】手順⑥で求めた一般項の辺々を引く
⑤ $−$ ⑥ より
$ $ $ 5 b_{n} = 13 \cdot 2^{n-1} − 3 \cdot (−3)^{n-1} $
$ $ $ = 13 \cdot 2^{n-1} + (−3)^{n} $
∴ $ \displaystyle{ b_{n} = {1 \over 5} \left\{ 13 \cdot 2^{n-1} + (−3)^{n} \right\} } $
【手順⑧】$ a_{n} −c = b_{n} $ を戻す
∴ $ \displaystyle{ a_{n} + 1 = {1 \over 5} \left\{ 13 \cdot 2^{n-1} + (−3)^{n} \right\} } $
∴ $ \displaystyle{ a_{n} = {1 \over 5} \left\{ 13 \cdot 2^{n-1} + (−3)^{n} \right\} − 1 } $
$ $ $ \displaystyle{ = {1 \over 5} \left\{ 13 \cdot 2^{n-1} + (−3)^{n} − 5 \right\} } $
こんな流れで、一般項 $a_n$ が求められました。
【隣接3項間の漸化式】0以外の定数項を含むパターンの解法2
先ほどと同じ例題を、もうひとつの解法で解いてみましょう。
解答の流れ
- 特性方程式 $ x^2 + px + q = 0 $ を解く
- 隣接3項間の漸化式(定数項r)を変形する(2通り)
- $ a_{n+1} − \alpha a_{n} = b_{n} ,$ $ a_{n+1} − \beta a_{n} = c_{n} $ とおく
- 数列 $ \{ b_{n} \}$, $ \{ c_{n} \}$ の一般項を求める
- $ a_{n+1} − \alpha a_{n} = b_{n} ,$ $ a_{n+1} − \beta a_{n} = c_{n} $ を戻す
- 手順⑤で求めた一般項の辺々を引く
※ 手順①は、あえて定数項 $r$ を無視するのがポイント!
【例題】条件 $ a_1 = 1,$ $ a_2 = 6 ,$ $ a_{n+2} + a_{n+1} −6 a_n = 4 $ によって定められる数列 $ \{ a_n \} $ の一般項を求めよ。
【手順①】特性方程式 $ x^2 + px + q = 0 $ を解く
定数項 $\color{red}{r\ (=4)}$ をあえて無視 して、特性方程式を作ります。
【解答】
隣接3項間の漸化式
$ $ $ a_{n+2} + a_{n+1} −6 a_n = 4 $ ・・・①
の特性方程式 $ x^2 + x − 6 = 0 $ を解くと
$ $ $ (x+3) (x−2) = 0 $
∴ $ x = −3 , \ 2 $
(注)この特性方程式は何のために作ったのか?というと
$ $ $ \begin{cases}
a_{n+2} − \alpha a_{n+1} = \beta \left( a_{n+1} − \alpha a_n \right) + 4 \\
\\
a_{n+2} −\beta a_{n+1} = \alpha \left( a_{n+1} − \beta a_n \right) + 4 \\
\end{cases} $
をみたす $ \alpha , \ \beta $ を見つけるためです。
【手順②】隣接3項間の漸化式(定数項r)を変形する(2通り)
なので、漸化式① は次の2通りに変形できる。
$ $ $ \begin{cases}
a_{n+2} + 3 a_{n+1} = 2 \left( a_{n+1} + 3 a_n \right) + 4 \, ・・・② \\
\\
a_{n+2} −2 a_{n+1} = −3 \left( a_{n+1} − 2 a_n \right) + 4 \, ・・・③ \\
\end{cases} $
【手順③】$ a_{n+1} − \alpha a_{n} = b_{n} ,$ $ a_{n+1} − \beta a_{n} = c_{n} $ とおく
②、③ で、$ a_{n+1} + 3 a_{n} = b_{n} ,$ $ a_{n+1} −2 a_{n} = c_{n} $ とおくと
$ $ $ \begin{cases}
\underbrace{ a_{n+2} + 3 a_{n+1} }_{ b_{n+1} } = 2 \, \underbrace{ \left( a_{n+1} + 3 a_n \right) }_{ b_{n} } + 4 \\
\\
\underbrace{ a_{n+2} −2 a_{n+1} }_{ c_{n+1} } = −3 \, \underbrace{ \left( a_{n+1} − 2 a_n \right) }_{ c_{n} } + 4 \\
\end{cases} $
∴ $ \begin{cases}
b_{n+1} = 2 b_{n} + 4 \, ・・・④ \\
\\
c_{n+1} = −3 c_{n} + 4 \, ・・・⑤ \\
\end{cases} $
【手順④】数列 $ \{ b_{n} \}$, $ \{ c_{n} \}$ の一般項を求める
④ より、特性方程式 $ c = 2c + 4 $ を解くと
$ $ $ c = −4 $
∴ $ b_{n+1} + 4 = 2 ( b_{n} + 4 ) $
⑤ より、特性方程式 $ c = −3c + 4 $ を解くと
$ $ $ c = 1 $
∴ $ c_{n+1} − 1 = −3 ( c_{n}− 1 ) $
よって、漸化式④、⑤ は次のように変形できる。
$ $ $ \begin{cases}
b_{n+1} + 4 = 2 ( b_{n} + 4 ) \, ・・・⑥ \\
\\
c_{n+1} − 1 = −3 ( c_{n} − 1 ) \, ・・・⑦ \\
\end{cases} $
⑥ より、$ \{ b_{n} + 4 \}$ は
$ $ $ \begin{cases}
初項 \, b_{1} + 4 = a_{2} + 3 a_{1} + 4 = 13 \\
\\
公比 \, 2 \\
\end{cases} $
の等比数列。
⑦ より、$ \{ c_{n} − 1 \}$ は
$ $ $ \begin{cases}
初項 \, c_{1} − 1 = a_{2} −2 a_{1} − 1 = 3 \\
\\
公比 \, −3 \\
\end{cases} $
の等比数列。
ゆえに
$ $ $ \begin{cases}
b_{n} + 4 = 13 \cdot 2^{n-1} \, \\
\\
c_{n} − 1 = 3 \cdot (−3)^{n-1} \, \\
\end{cases} $
【手順⑤】$ a_{n+1} − \alpha a_{n} = b_{n} ,$ $ a_{n+1} − \beta a_{n} = c_{n} $ を戻す
a_{n+1} + 3 a_{n} + 4 = 13 \cdot 2^{n-1} \, ・・・⑧ \\
\\
a_{n+1} −2 a_{n} − 1 = 3 \cdot (−3)^{n-1} \, ・・・⑨ \\
\end{cases} $
【手順⑥】手順⑤で求めた一般項の辺々を引く
⑧ $−$ ⑨ より
$ $ $ 5 a_{n} + 5 = 13 \cdot 2^{n-1} − 3 \cdot (−3)^{n-1} $
∴ $ 5 a_{n} = 13 \cdot 2^{n-1} + (−3)^{n} − 5 $
∴ $ \displaystyle{ a_{n} = {1 \over 5} \left\{ 13 \cdot 2^{n-1} + (−3)^{n} − 5 \right\} } $
というわけで「解法1」と同じ答えが出せましたね。
【まとめ】隣接3項間の漸化式 0以外の定数項を含むパターンの解法2つ!
最後にまとめです。
「隣接3項間の漸化式」に 0以外の定数項 が含まれるパターン($ a_{n+2} + p a_{n+1} + q a_n = r $)の解法は2通り。
解答の入口で
あるいは
とスタートします。
もし問題文に誘導がなくても、ノーヒントで解けるようにしておきましょう!
【隣接3項間の漸化式】特性方程式でなぜ解けるの?
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