【三角比の相互関係】公式を使わずサクッと簡単にsin cos tanを求める裏ワザ【注意点あり】

sin cos tanを求めるときに「三角比の相互関係」の公式をいちいち使うのが面倒だ・・・

「三角比の相互関係」の公式3つを使わずに、サクッと簡単に計算する方法が知りたい!

こういった要望に応えます。

 

三角比の相互関係」の公式は、三角比や図形の問題を解く上で必ず覚えておかなければいけません。

  1. $\sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1$
  2. $\displaystyle { \tan \theta = {\sin \theta \over \cos \theta} }$
  3. $\displaystyle { 1 + \tan^2 \theta = {1 \over \cos^2 \theta} } $

とはいえ、3つの公式をしっかり暗記した上で使い分ける必要があったり、2乗の計算が入っていたりと、少し面倒なのも事実です。

そこで、今回は「三角比の相互関係」の公式を使わず、サクッと簡単にsin cos tanを求める裏ワザ」を教えます。

 

この裏ワザを使いこなすことによって、ライバルたちが公式でせっせと計算している中、あなたは 一瞬で&簡単に答えを出せる ようになります。

裏ワザを使う際の 注意点 もあるので、ぜひ最後まで読んでください。

 

「三角比の相互関係」の公式なしで簡単にsin cos tanを求める裏ワザ【3ステップ】

分岐

三角比の相互関係の公式を使わず、サクッと簡単に求める 裏ワザ を教えます。

 

この裏ワザのポイントは

 符号 を分けて考える

ということです。

 

「三角比の相互関係」を簡単に出す裏ワザは、以下の 3ステップです。

  1. 直角三角形をかいて  を求める
  2. 単位円をかいて 符号 を求める
  3. 符号 を合わせる

これで完了です。

 

※① 直角三角形のかき方

三角比の定義より

$ \begin{cases}
\displaystyle { \sin \theta = { たて \over 斜辺 } } \\
\\
\displaystyle { \cos \theta = { よこ \over 斜辺 } } \\
\\
\displaystyle { \tan \theta = { たて \over よこ } }
\end{cases}$

となるように図をかきましょう。

「三角比の相互関係」を簡単に出す裏ワザ【使い方】

三角比の相互関係」をサクッと簡単に出す裏ワザの使い方を見てみましょう。

【例題】$ \displaystyle { \sin \theta = { 1 \over 3 } \left( 0^\circ <\theta<90^\circ \right) }$ のとき、$\cos \theta$、$\tan \theta$の値を求めよ。

①直角三角形をかいて「値」を求める

$\displaystyle { \sin \theta = { たて \over 斜辺 } = { 1 \over 3 } } $ となるような直角三角形をかきます。

(長さのバランスは適当でOK)

三平方の定理より、残りの1辺を出します。

三角比の定義より、とりあえず「」だけ求めます。

(いったん符号は無視する)

$ \begin{cases}
\displaystyle { \cos \theta = { よこ \over 斜辺 } = { 2 \sqrt{2} \over 3 } } \\
\\
\displaystyle { \tan \theta = { たて \over よこ } = { 1 \over 2 \sqrt{2} } } \\
\end{cases}$

②単位円をかいて「符号」を求める

「$0<\theta<90^\circ$ かつ $\sin \theta>0(+)$」すなわち

「$0<\theta<90^\circ$」より

$\cos \theta$ と $\tan \theta$ の「符号」を 単位円で確認すると

$ \begin{cases}
\cos \theta >0(+) \\
\\
\tan \theta >0(+) \\
\end{cases}$

と分かります。

このステップは、慣れてきたら頭の中でイメージするだけでOK!

③値と符号を合わせる

ステップ①「」は

$ \begin{cases}
\displaystyle { \cos \theta = { 2 \sqrt{2} \over 3 } } \\
\\
\displaystyle { \tan \theta = { 1 \over 2 \sqrt{2} } } \\
\end{cases}$

ステップ②「符号」は

$ \begin{cases}
\cos \theta >0(+) \\
\\
\tan \theta >0(+) \\
\end{cases}$

 

これらを合わせて考えると

【解答】$\displaystyle { \cos \theta = { 2 \sqrt{2} \over 3 } } $,  $\displaystyle { \tan \theta = { 1 \over 2 \sqrt{2} } } $

となります。

 

どうでしたか? ふつうに公式を使って解くよりも、かなり早く求められたのではないでしょうか。

やり方に慣れてくると大幅にスピードアップできるので、ぜひ自分のモノにしましょう!

「三角比の相互関係」を簡単に出す裏ワザ【練習問題】

色んなパターンの問題を解いて「三角比の相互関係」の裏ワザに慣れておきましょう!

【問題】三角比の1つが次の値をとるとき、他の2つの三角比の値を求めよ。

(1) $ \displaystyle { \cos \theta = { 2 \over 3 } \left( 0^\circ <\theta<90^\circ \right) }$

(2) $ \displaystyle { \tan \theta = \sqrt{2}  \left( 0^\circ <\theta<90^\circ \right) }$

(3) $ \displaystyle { \sin \theta = { 3 \over 4 } \left( 0^\circ <\theta<180^\circ \right) }$

(4) $ \displaystyle { \cos \theta = − { 2 \over \sqrt{5} } \left( 0^\circ <\theta<180^\circ \right) }$

(5) $ \displaystyle { \sin \theta = − { 1 \over \sqrt{3} } \left( 0^\circ <\theta<360^\circ \right) }$

(6) $ \displaystyle { \tan \theta = − {1 \over 2}  \left( 0^\circ <\theta<360^\circ \right) }$

え?こんなにたくさんやるの大変だって?

心配しなくても大丈夫!

先ほど伝授した「裏ワザ」を使えば一瞬で&簡単に解けます!

(1) $ \displaystyle { \cos \theta = { 2 \over 3 } \left( 0^\circ <\theta<90^\circ \right) }$

$ \displaystyle { \cos \theta = { 2 \over 3 } }$ となるような直角三角形をかくと

$ \begin{cases}
\displaystyle { \sin \theta = { \sqrt{5} \over 3 } } \\
\\
\displaystyle { \tan \theta = { \sqrt{5} \over 2 } } \\
\end{cases}$

 

符号

「$0^\circ <\theta<90^\circ$ かつ $\cos \theta>0(+)$」すなわち

「$0^\circ <\theta<90^\circ$」より、単位円をかくと

$ \begin{cases}
\sin \theta >0(+) \\
\\
\tan \theta >0(+) \\
\end{cases}$

 

①と②を合わせて

【解答】$ \displaystyle { \sin \theta = { \sqrt{5} \over 3 } }$,  $ \displaystyle { \tan \theta = { \sqrt{5} \over 2 } }$

(2) $ \displaystyle { \tan \theta = \sqrt{2}  \left( 0^\circ <\theta<90^\circ \right) }$

$ \displaystyle { \tan \theta = \sqrt{2} }$ となるような直角三角形をかくと

$ \begin{cases}
\displaystyle { \sin \theta = { \sqrt{2} \over \sqrt{3} } } \\
\\
\displaystyle { \cos \theta = { 1 \over \sqrt{3} } } \\
\end{cases}$

 

符号

「$0^\circ <\theta<90^\circ$ かつ $ \tan \theta>0(+)$」すなわち

「$0^\circ <\theta<90^\circ$」より、単位円をかくと

$ \begin{cases}
\sin \theta >0(+) \\
\\
\cos \theta >0(+) \\
\end{cases}$

 

①と②を合わせて

【解答】$ \displaystyle { \sin \theta = { \sqrt{2} \over \sqrt{3} } }$,  $ \displaystyle { \cos \theta = { 1 \over \sqrt{3} } }$

(3) $ \displaystyle { \sin \theta = { 3 \over 4 } \left( 0^\circ <\theta<180^\circ \right) }$

$ \displaystyle { \sin \theta = { 3 \over 4 } }$ となるような直角三角形をかくと

$ \begin{cases}
\displaystyle { \cos \theta = { \sqrt{7} \over 4 } } \\
\\
\displaystyle { \tan \theta = { 3 \over \sqrt{7} } } \\
\end{cases}$

 

符号

「$0^\circ <\theta<180^\circ$ かつ $\sin \theta>0(+)$」すなわち

「$0^\circ <\theta<180^\circ$」より、単位円をかくと

$ \begin{cases}
\cos \theta >0(+)のとき \tan \theta >0(+) \\
\\
\cos \theta <0(−)のとき \tan \theta <0(−) \\
\end{cases}$

 

①と②を合わせて

【解答】$ \displaystyle { \cos \theta = \pm { \sqrt{7} \over 4 } }$,  $ \displaystyle { \tan \theta = \pm { 3 \over \sqrt{7} } }$(複号同順)・・・(注)

(注) 「複号同順」について

$ \begin{cases}
\displaystyle { \cos \theta = { \sqrt{7} \over 4 } }, \displaystyle { \tan \theta = { 3 \over \sqrt{7} } } (+と+が対応)\\
\\
\displaystyle { \cos \theta = − { \sqrt{7} \over 4 } }, \displaystyle { \tan \theta = − { 3 \over \sqrt{7} } }  (−と−が対応)\\
\end{cases}$

と同じ意味。

(4) $ \displaystyle { \cos \theta = − { 2 \over \sqrt{5} } \left( 0^\circ <\theta<180^\circ \right) }$

$ \displaystyle { \cos \theta = { 2 \over \sqrt{5} } } $ となるような直角三角形をかくと

(いったん 符号「−」は無視する)

$ \begin{cases}
\displaystyle { \sin \theta = { 1 \over \sqrt{5} } } \\
\\
\displaystyle { \tan \theta = { 1 \over 2 } } \\
\end{cases}$

 

符号

「$0^\circ <\theta<180^\circ$ かつ $\cos \theta <0(−)$」すなわち

「$90^\circ <\theta<180^\circ$」より、単位円をかくと

$ \begin{cases}
\sin \theta >0(+) \\
\\
\tan \theta <0(−) \\
\end{cases}$

 

①と②を合わせて

【解答】$ \displaystyle { \sin \theta = { 1 \over \sqrt{5} } }$ ,  $ \displaystyle { \tan \theta = −{ 1 \over 2 } }$

(5) $ \displaystyle { \sin \theta = − { 1 \over \sqrt{3} } \left( 0^\circ <\theta<360^\circ \right) }$

$ \displaystyle { \sin \theta = { 1 \over \sqrt{3} } } $ となるような直角三角形をかくと

(いったん 符号「−」は無視する)

$ \begin{cases}
\displaystyle { \cos \theta = { \sqrt{2} \over \sqrt{3} } } \\
\\
\displaystyle { \tan \theta = { 1 \over \sqrt{2} } } \\
\end{cases}$

 

符号

「$0^\circ <\theta<360^\circ$ かつ $\sin \theta <0(−)$ 」すなわち

「$180^\circ <\theta<360^\circ$」より、単位円をかくと

$ \begin{cases}
\cos \theta >0(+)のとき \tan \theta >0(−) \\
\\
\cos \theta <0(−)のとき \tan \theta <0(+) \\
\end{cases}$

 

①と②を合わせて

【解答】$ \displaystyle { \cos \theta = \pm { \sqrt{2} \over \sqrt{3} } }$ ,  $ \displaystyle { \tan \theta = \mp { 1 \over \sqrt{2} } }$(複号同順)・・・(注)

(注) 「複号同順」について

$ \begin{cases}
\displaystyle { \cos \theta = { \sqrt{2} \over \sqrt{3} } } , \displaystyle { \tan \theta = −{ 1 \over \sqrt{2} } } (+と−が対応)\\
\\
\displaystyle { \cos \theta = − { \sqrt{2} \over \sqrt{3} } } , \displaystyle { \tan \theta = { 1 \over \sqrt{2} } }  (−と+が対応)\\
\end{cases}$

と同じ意味。

(6) $ \displaystyle { \tan \theta = − {1 \over 2}  \left( 0^\circ <\theta<360^\circ \right) }$

$ \displaystyle { \tan \theta = {1 \over 2} } $ となるような直角三角形をかくと

(いったん 符号「−」は無視する)

$ \begin{cases}
\displaystyle { \sin \theta = { 1 \over \sqrt{5} } } \\
\\
\displaystyle { \cos \theta = { 2 \over \sqrt{5} } } \\
\end{cases}$

 

符号

「$0^\circ <\theta<360^\circ$ かつ $\tan \theta <0(−)$ 」すなわち

「$90^\circ <\theta<180^\circ$ , $270^\circ <\theta<360^\circ$」より、単位円をかくと

$ \begin{cases}
\sin \theta >0(+)のとき \cos \theta >0(−) \\
\\
\sin \theta <0(−)のとき \cos \theta <0(+) \\
\end{cases}$

 

①と②を合わせて

【解答】$ \displaystyle { \sin \theta = \pm { 1 \over \sqrt{5} } }$ ,  $ \displaystyle { \cos \theta = \mp { 2 \over \sqrt{5} } }$(複号同順)・・・(注)

(注) 「複号同順」について

$ \begin{cases}
\displaystyle { \cos \theta = { 1 \over \sqrt{5} } } , \displaystyle { \tan \theta = −{ 2 \over \sqrt{5} } } (+と−が対応)\\
\\
\displaystyle { \cos \theta = − { 1 \over \sqrt{5} } } , \displaystyle { \tan \theta = { 2 \over \sqrt{5} } }  (−と+が対応)\\
\end{cases}$

と同じ意味。

「三角比の相互関係」を簡単に出す裏ワザ【注意点】

注意点

さて、ここまで「三角比の相互関係」の便利な裏ワザの使い方を見てきましたが、ひとつだけ 注意点 があります。

この裏ワザは「記述式(過程を書かせるタイプ)のテスト・問題では使ってはいけない」ということです。

もし記述式のテスト・問題で「公式」の代わりに「裏ワザ」を使った答案を書くと、ほぼ間違いなく減点されます。

 

なので、今回の裏ワザを使っていいのは、

  • 答えのみ書くタイプの問題
  • マーク式・選択式(共通テスト、私立大の入試など)

の場合に限られます。

 

逆に言えば、計算過程を書かなくていいようなテスト・問題のときには、「三角比の相互関係の裏ワザが 大きな威力を発揮する ということです。

ぜひマスターして、三角比を超速で求められるようにしましょう!

質問・要望があれば気軽にコメントください👍

「三角比の相互関係」公式3つの覚え方・使い方

三角比の相互関係」の裏ワザじゃない方の「公式」についてはこちら。

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