二次関数の「平方完成」の計算に手間取ったり、しかもミスをよくしてしまう
平方完成を素早く、確実に、簡単に計算する方法を知りたい!
そもそもなぜ平方完成するの?
平方完成はいつ使うの?
今回の記事では、こういった悩み・疑問を解決します。
意外と知られていない平方完成の簡単&確実な計算方法の紹介や、平方完成をいつ使うのかといった「使いどころ」をしっかり解説します。
なぜ平方完成をするのか?
そもそも平方完成は何のためにするのか?
「平方完成」をする目的はズバリ、
二次関数のグラフの形を明らかにするため
です。
二次関数のグラフの形は、主に3つの要素からなります。
① 上に凸 or 下に凸
② 頂点の座標 $(x, y)$
③ 軸 $x = a$
この3つがわかれば、とりあえずグラフを書くことができ、「二次関数の最大、最小を求める問題」は解くことができます。
二次関数 $y = a(x − p)^2 + q$ を例に、それぞれ説明します。
二次関数 $y = a(x − p)^2 + q$
上に凸 or 下に凸
$x^2$ の係数 $a$ の符号を見ます。
プラスなら 下に凸 です。
逆に、マイナスなら 上に凸 です。
頂点の座標 $(p, q)$
放物線の「頂点」の座標は$(p, q)$になります。
$p$ の符号に気をつけましょう。
$q$はそのままでOKですが、$p$は符号を逆にして書きます。
【例】 $y = 2(x$ $+ 3$$)^2 + 4$ の頂点は $($$−3$$, 4)$
軸 $x = p$
放物線を左右対称に分ける直線を「軸」と言います。
$x = p$ のような形で、$xy$座標平面では 縦にまっすぐのびた直線になります。
【例】 $y = 2(x$ $+ 3$$)^2 + 4$ の軸は $x =$ $−3$
平方完成の最速テクニック【簡単に求める方法】
それでは、平方完成を「素早く」「正確に」「簡単に」やる方法を紹介します。
【例題】$−5x^2 + 20x + 6$ を平方完成せよ。
① $x^2$ の係数(−5)で、前の2項をくくる
$ $ $\color{blue} {−5} x^2 + 20x $ $+ 6$
$=$ $\color{blue} {−5} (x^2 −4x) $ $+ 6$
② 次のように書き換える
$x^2$ → $x$
赤 ÷ 2
$x$ → 消す
括弧を2乗にする
$= −5$$(x^2 − \color{red} {4} x)$ $+ 6$
$= −5$$(x − \color{red} {2} )^2$ ・・・
③ その後ろに 「−(赤色の2乗)×(係数)」を書く
$= \color{blue} {−5} (x − \color{red} {2} )^2 $ $− \color{red} {2}^2 \cdot ( \color{blue} {−5})$ ・・・
④ 残りの項を書く
$= −5(x − 2)^2 −2^2 \cdot (−5) $ $+ 6$
⑤ 計算しておわり
$= −5(x − 2)^2 + 26$
一連の流れでやると、下のような計算になります。
【◎計算】
$−5x^2 + 20x + 6$
$= −5(x^2 − 4x) + 6$
$= −5(x − 2)^2 −4 \cdot (−5)+ 6$
$= −5(x − 2)^2 + 26$
教科書に載っているようなやり方と比べてみましょう。
【△計算】
$−5x^2 + 20x + 6$
$= −5(x^2 − 4x) + 6$
$= −5\{(x − 2)^2 −2^2\} + 6$ ← 時間ロス!
$= −5\{(x − 2)^2 −4\} + 6$ ← 時間ロス!
$= −5(x − 2)^2 +(−5) \cdot (−4) + 6$
$= −5(x − 2)^2 + 26$
まとめ
平方完成の計算に使った行数を見ると「◎計算」は3行、「△計算」は5行です。
つまり、今回紹介した「◎計算」は、教科書に載っている「△計算」と比べると 2行ぶん早く済みます。
まず2行減ることで早く終わるし、書き間違いによる計算ミスも減ります。
さらに慣れてきて、2行目を飛ばせるようになると もっとスピードアップできますね。
上の例で言うと、$\color{green} {-5}x^2 \color{red} {+20}x + 6$ を見たときに「$\color{red} {+20}$ を係数($\color{green} {-5}$)でくくったら $\color{red} {-4}$、それを$2$で割って $\color{red} {-2}$ だな」と考えながら、$\color{green} {-5}(x\color{red} {-2})^2$・・・と書いていく流れです。(ただし計算・符号ミスには注意!)
そこまで出来るようになると計算がかなり早くなるので、どんどん練習してしっかりマスターしてください!
このように、限られた時間(日々の勉強もテストの時間も)のなかで賢くショートカットするテクニックを身につけましょう。
平方完成を練習しよう!
さっそく 平方完成の練習問題をやってみましょう。
全部で5問あります。
【問題】次の式を平方完成せよ。
(1) $x^2 + 2x + 5$
(2) $x^2 − 6x + 12$
(3) $2x^2 − 4x + 5$
(4) $−2x^2 − 6x + 1$
(5) $−3x^2 + 2x$
- 【解答】を見る
- (1) $(x + 1)^2 + 4$
(2) $(x − 3)^2 + 3$
(3) $2(x − 1)^2 + 3$
(4) $\displaystyle{-2 \left( x + {3\over2} \right)^2+ {11\over2}}$
(5) $\displaystyle{-3 \left( x − {1\over3} \right)^2 + {1\over3}}$
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