一次関数の「動く点P」の問題がはっきり言って苦手だ
どうやって解いたらいいのか分からない、時間がすごくかかってしまう
グラフの描き方もイマイチ自信がない・・・
こんな悩みをお持ちの人でも、今回の記事を読めばスッキリ解消します。
ここで紹介するのは、教科書に書いてあるような面倒臭いやり方ではなく、目から鱗(うろこ)の「裏ワザ」と言えるものです。
この方法をマスターすれば、ライバルたちが「動く点Pの問題」を時間をかけて解いているのを横目に見ながら、自分だけ素早く・ミスなく解いてしまうことができます。
なぜ「動く点P」は難しく感じるの?
みんなを悩ませる、動く点Pの問題。
そもそも、なぜ「動く点Pは難しい」と感じてしまうのか?というと「三角形の面積 y を、いきなり x を使って表すから」です。
「え、ちょっと待って。教科書にはそうやって書いてあるよ!」という声が聞こえてきそうですが、そりゃあ学校の教科書には「真面目なやり方」しか書きませんよ。
ですが、教科書のやり方はハッキリ言って分かりづらく、そのせいで「動く点P」に苦手意識を持ってしまう学生が量産されているのも事実です。
そこで今回紹介するのは、教科書には書かれていないような、簡単・スピーディーに解くための完全なる「裏ワザ」です。
「動く点P」の解き方【点の座標→グラフ→式】
動く点Pの問題のポイントは、以下の通り。
- Pの動き方が変わる点の座標を求める
- ①の座標をもとにグラフを描く
- ②のグラフをもとに式を求める
この手順で解きましょう。
それでは、実際に問題を使って説明していきます。
動く点Pの問題を解いてみよう
【例題】
上図のような長方形ABCDの辺上を、1秒に1cmの速さで、頂点Aを出発してから、B、Cを通って、Dまで動く点Pがある。
点Pが頂点Aを出発してから x秒後の三角形APDの面積を ycm² とする。
(1) 次のそれぞれの場合について、y を x を使った式で表せ。
①点Pが辺ABにあるとき
②点Pが辺BCにあるとき
③点Pが辺CDにあるとき
(2) x, y の関係を表すグラフをかけ。
まず、問題文の内容を整理すると、
- 点Pは秒速1cmで進む
- A → B → C → D の順に動く
- x秒後の三角形APDの面積が ycm²
となります。
教科書だと、ふつうに (1) から解いていきますが、もちろん僕たちはそんなことはしません。
この問題では、(2) → (1) の順番で解いていくのが賢いやり方です。
【ステップ1】点の座標を求める
まずは、【ステップ1】Pの動き方が変わる点の座標を求める です。
「Pの動き方が変わる点」は、この問題でいうと「頂点A、B、C、D」の4つです。
Pが頂点A にあるとき
Pが頂点Aにあるとき、
・スタート地点なので、0秒後 → x = 0
・三角形APDは潰れてしまっているので、面積は 0cm² → y = 0
よって、
Pが頂点B にあるとき
Pが頂点Bにいるとき、
・3cm動いたので、3秒後 → x = 3
・三角形APDの面積は、4 × 3 ÷ 2 = 6 (cm²) → y = 6
よって、
Pが頂点C にあるとき
Pが頂点Cにあるとき、
・3 + 4 = 7 (cm) 動いたので、7秒後 → x = 7
・三角形APDの面積は、4 × 3 ÷ 2 = 6 (cm²) → y = 6
よって、
Pが頂点D にあるとき
Pが頂点Dにあるとき、
・3 + 4 + 3 = 10 (cm) 動いたので、10秒後。→ x = 10
・三角形APDは潰れてしまっているので、面積は 0cm²。 → y = 0
よって、
まとめ
点A、B、C、Dの座標をまとめると、
A(0, 0)
B(3, 6)
C(7, 6)
D(10, 0)
となります。
【ステップ2】グラフを描く
【ステップ1】の結果をもとにグラフを描きます。
まずは、点A、B、C、Dの座標をとります。
次に、A → B → C → D の順に直線を結びます。
これでグラフは完成です。
以上より、問題(2) の解答は以下のようになります。

【ステップ3】式を求める
【ステップ2】で描いたグラフをもとに、直線の式を求めていきます。
直線の傾きについて復習したい人は、こちらを読んでください。
比例のグラフのかき方、読み取り方がよくわからない 比例定数って何なのかイマイチわからない 直線の傾き、変化の割合と言われてもピンと来ない こういった悩みを持っている人に向けて、この記事を書きました。 「比例とは何か?」から始[…]
問題(1)① 点Pが辺ABにあるとき
点Pが辺ABにあるのは「0〜3秒後」。定義域で表すと「0 ≦ x ≦ 3」です。
このときのグラフは 直線AB です。
直線ABは、2点 A(0, 0)、B(3, 6)を通るので、
傾きは、6 / 3 = 2 (右に3、上に6進む)。
よって、y = 2x (0 ≦ x ≦ 3のとき)
(1)① の解答
y = 2x
問題(1)② 点Pが辺BCにあるとき
点Pが辺BCにあるのは「3〜7秒後」。定義域で表すと「3 ≦ x ≦ 7」です。
このときのグラフは 直線BC です。
直線BCは、2点 B(3, 6)、C(7, 6)を通るので、(yの値は常に6)
y = 6 (3 ≦ x ≦ 7のとき)
(1)② の解答
y = 6
問題(1)③ 点Pが辺CDにあるとき
点Pが辺CDにあるのは「7〜10秒後」。定義域で表すと「7 ≦ x ≦ 10」です。
このときのグラフは 直線CD です。
直線CDは、2点 C(7, 6)、D(10, 0)を通るので、
傾きは、-6 / 3 = -2 (右に3、下に6進む)。
y = -2x + b とおいて、D(10, 0) を代入すると、
0 = -20 + b
b = 20
よって、y = -2x + 20 (7 ≦ x ≦ 10のとき)
(1)③ の解答
y = -2x + 20
これで、動く点Pの問題がすべて解けました。
【まとめ】「動く点P」の解き方
動く点Pの問題におけるポイントを、改めてまとめておきます。
- Pの動き方が変わる点の座標を求める
- ①の座標をもとにグラフを描く
- ②のグラフをもとに式を求める
この手順を守ることで、素早く・簡単に問題が解けるようになるはずです。
教科書や問題集を使って、慣れるまでたくさん問題を解いてみましょう。
【発展】面積が○cm² になるのは 何秒後か?
もしこの問題の続きに、
とある場合、どう解いたらよいでしょうか?
問題(1)の①〜③ で場合分けをしてみましょう。
問題(1)① 点Pが辺ABにあるとき
グラフの式は、
なので、y = 4 を代入すると、
4 = 2x
x = 2
よって、
問題(1)② 点Pが辺BCにあるとき
グラフの式は、
なので、y = 4 となるような xの値 は存在しない。
問題(1)③ 点Pが辺CDにあるとき
グラフの式は、
なので、y = 4 を代入すると、
4 = -2x + 20
2x = 16
x = 8
よって、
まとめ
以上をまとめると、
(3) の解答
2秒後、8秒後
となります。