「相加・相乗平均の関係」で変数が3つ以上のパターンはどうなるの?
使い方、入試問題の解き方をわかりやすく教えてほしい!
こういった要望に応えます。
【相加・相乗平均の関係】2つの数
まずは、2つの数 における「相加・相乗平均の関係」をおさらいしておきましょう。
$ a>0, \ b>0 $ のとき
$ $ $ \displaystyle{ {a + b \over 2} ≧ \sqrt{ ab } } $
等号成立条件は $ a=b $
相加平均: $ a, \ b $ を足して $2$ で割る
相乗平均: $ a, \ b $ をかけて $2$ 乗根をとる
もっと復習したい人はこちら。
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【相加・相乗平均の関係】3つ以上の数
では、3つ以上の数 のときはどうなるでしょうか?
$n$ 個の数における「相加・相乗平均の関係」は次の通り。
$ a_i>0 \ (i = 0, \ 1, \ 2, \cdots n) $ のとき
$ $ $ \displaystyle{ {a_1 + a_2 + a_3 + \cdots + a_n \over n} ≧ \sqrt[n]{ a_1 a_2 a_3 \cdots a_n } } $
等号成立条件は $ a_1 = a_2 = a_3 = \cdots = a_n $
相加平均: $ a_1 〜 a_n $ を足して $n$ で割る
相乗平均: $ a_1 〜 a_n $ をかけて $n$ 乗根をとる
「$≧$」の等号成立条件は、$ a_1 〜 a_n $ がすべて等しいときです。
特に $ n=2 $ とすると、ふつうの「相加・相乗平均の関係(2数)」が表せますね。
【相加・相乗平均の関係】変数が3つ以上(入試問題)
「相加・相乗平均の関係」で 変数が3つ以上 になるパターン(入試問題)を解いてみましょう。
【問題】正の実数 $x, \ y$ が、$x^2 − 2x + 4y^2 = 0 $ をみたしながら変わるとき、$xy$ の最大値を求めよ。[埼玉大]
一見すると「相加・相乗平均の関係」が使えなさそうですが、問題文に「正の実数 $x, \ y$($x, \ y > 0$)」という条件があるのがヒントです。
まずは、$y$ を消去します。
【解答】
$x^2 − 2x + 4y^2 = 0 $ より
$ $ $ \displaystyle{ y^2 = {1 \over 4} \left(−x^2 + 2x \right) > 0 } $(∵ $y^2 > 0$)
∴ $ x(x−2) <0 $
∴ $ 0<x<2$ ・・・①
いきなり $xy$ で考えるとわかりにくいので、$2$ 乗した $x^2 y^2$ で考えてみます。
$ \displaystyle{ x^2 y^2 = {1 \over 4} x^2 \left( −x^2 + 2x \right) }$
$ $ $ \displaystyle{ = {1 \over 4} x^3 \left( 2−x \right) }$
$ $ $ \displaystyle{ = {1 \over 4} \cdot {1 \over 3} \cdot \color{red}{x} \cdot \color{red}{x} \cdot \color{red}{x} \cdot \color{red}{ \left( 6−3x \right) } }$
ここの変形のしかたは、赤色の4数
$ $ $ \displaystyle{ \color{red}{x} , \ \color{red}{x} , \ \color{red}{x} , \ \color{red}{ \left( 6−3x \right) } }$
を足したもの(相加平均の分子)が
$ $ $ \displaystyle{ \require{cancel} \color{red}{ \bcancel{x} } + \color{red}{ \bcancel{x} } + \color{red}{\bcancel{x} } + \color{red}{ ( 6 − \bcancel{3x} ) } = 6 }$(定数)
となることを狙ったわけです。
$ \color{red}{x}> 0, \ \color{red}{6−3x} > 0 $ なので、相加・相乗平均の関係より
$ $ $ \displaystyle{ {\color{red}{x} + \color{red}{x} + \color{red}{x} + \color{red}{ ( 6−3x ) } \over 4} ≧ \sqrt[4]{ \color{red}{x} \cdot \color{red}{x} \cdot \color{red}{x} \cdot \color{red}{ ( 6−3x ) } } } $
∴ $ \displaystyle{ {3 \over 2 } ≧ \sqrt[4]{ \color{red}{x} \cdot \color{red}{x} \cdot \color{red}{x} \cdot \color{red}{ ( 6−3x ) } } } $ ・・・②
等号成立条件は
$ $ $ x = 6−3x $
∴ $ \displaystyle{ x = {3 \over 2 } } $(① をみたす)
∴ $ \displaystyle{ y^2 = {1 \over 4} \left(−x^2 + 2x \right) = {3 \over 16} } $
∴ $ \displaystyle{ y = { \sqrt{3} \over 4} } $(∵ $ y > 0$)
② の両辺 $4$ 乗して
$ $ $ \displaystyle{ \left( { 3 \over 2 } \right)^4 ≧ \color{red}{x} \cdot \color{red}{x} \cdot \color{red}{x} \cdot \color{red}{ ( 6−3x ) } } $
∴ $ \displaystyle{ x^2 y^2 ≦ {1 \over 4} \cdot {1 \over 3} \cdot \left( { 3 \over 2 } \right)^4 } $
よって、$x^2 y^2$ は
$ $ $ \displaystyle{ x = {3 \over 2 } } $ で 最大値 $ \displaystyle{ {1 \over 4} \cdot {1 \over 3} \cdot \left( { 3 \over 2 } \right)^4 } $ ・・・(注)
したがって、$xy$ は
$ $ $ \displaystyle{ x = { 3 \over 2 }, \ y = { \sqrt{3} \over 4 } } $ で
$ $ 最大値 $ \displaystyle{ \sqrt{ {1 \over 4} \cdot {1 \over 3} \cdot \left( { 3 \over 2 } \right)^4 } = { 3 \sqrt{3} \over 8 } } $
(注)$ \displaystyle{ {1 \over 4} \cdot {1 \over 3} \cdot \left( { 3 \over 2 } \right)^4 } $ をあえて計算せずに放っておくのも、楽に解くテクニックのひとつです。
もし「相加・相乗平均の関係」を使わずに解きたければ、以下のように微分する 別解 もあります。
- 【別解】を見る
-
【別解】
$x^2 − 2x + 4y^2 = 0 $ より
$ $ $ \displaystyle{ y^2 = {1 \over 4} \left(−x^2 + 2x \right) > 0 } $(∵ $y^2 > 0$)
∴ $ x(x−2) <0 $
∴ $ 0<x<2$
$ xy > 0$ より
$ $ $ \displaystyle{ xy = \sqrt{x^2 y^2} } $
$ $ $ \displaystyle{ = \sqrt{x^2 \cdot {1 \over 4} \left(−x^2 + 2x \right) } } $
$ $ $ \displaystyle{ = {1 \over 2} \sqrt{−x^4 + 2x^3 } } $
$ f(x) = −x^4 + 2x^3 $ とおくと
$ f'(x) = −4x^3 + 6x^2 = 0 $ より
$ $ $ x^2 ( 2x − 3 ) = 0 $
∴ $ \displaystyle{ x = 0 , \ {3 \over 2} } $
よって、$ 0<x<2$ における
$f(x) $ の増減表は以下のようになる。
$\begin{array}{c|ccccc}
x & (0) & \cdots & \displaystyle{3 \over 2} & \cdots & (2) \\
\hline
f'(x) & & + & 0 & – & \\
\hline
f(x) & & \nearrow & Max & \searrow & \\
\end{array}$ゆえに、$f(x)$ は $ \displaystyle{ x = { 3 \over 2 } } $ で
$ $ 最大値 $ \displaystyle{ f \left( {3 \over 2} \right) = −\left( {3 \over 2} \right)^4 + 2 \left( {3 \over 2} \right)^3 }$
$ $ $ \displaystyle{ = \left( {3 \over 2} \right)^3 \cdot \left( −{3 \over 2} + 2 \right) }$
$ $ $ \displaystyle{ = \left( {3 \over 2} \right)^3 \cdot {1 \over 2} }$
このとき
$ $ $ \displaystyle{ y^2 = {1 \over 4} \left(−x^2 + 2x \right) = {3 \over 16} } $
∴ $ \displaystyle{ y = { \sqrt{3} \over 4} } $(∵ $ y > 0$)
したがって、$xy$ は
$ $ $ \displaystyle{ x = { 3 \over 2 }, \ y = { \sqrt{3} \over 4 } } $ で
$ $ 最大値 $ \displaystyle{ {1 \over 2} \sqrt{f \left({3 \over 2} \right) } = {1 \over 2} \sqrt{ \left( {3 \over 2} \right)^3 \cdot {1 \over 2} } } $
$ $ $ \displaystyle{ = { 3 \sqrt{3} \over 8 } }$
以上です。
お疲れ様でした!
【まとめ】「相加・相乗平均の関係」3つ以上の数のパターン
最後に、$n$ 個の数における「相加・相乗平均の関係」をまとめておきます。
$ a_i>0 \ (i = 0, \ 1, \ 2, \cdots n) $ のとき
$ $ $ \displaystyle{ {a_1 + a_2 + a_3 + \cdots + a_n \over n} ≧ \sqrt[n]{ a_1 a_2 a_3 \cdots a_n } } $
等号成立条件は $ a_1 = a_2 = a_3 = \cdots = a_n $
相加平均: $ a_1 〜 a_n $ を足して $n$ で割る
相乗平均: $ a_1 〜 a_n $ をかけて $n$ 乗根をとる
「$≧$」の等号成立条件は、$ a_1 〜 a_n $ がすべて等しいとき。
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