微分を使わない「接線の方程式」の求め方【3次関数編】

3次関数の「接線の方程式」を求めたいときは微分を使うのが基本ですが、

問題によっては、あえて 微分を使わずに 求める解き方の方がラクな場合もあります。

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【微分法】接線の方程式の求め方はこれだけ!【パターン別にわかりやすく丁寧に解説】

上の記事では、ふつうに微分法で解くやり方を紹介していますが、

今回は、同じ3題を使って 微分を使わずに接線の方程式」を求めるやり方を解説していきます!

微分を使わない「接線の方程式」の求め方【3次関数編】

接線の方程式_例題2_no

$3$ 次関数 $ f(x) =ax^3 + bx^2 +cx + d $ について

点 $( \alpha , \ f( \alpha ))$ における接線を $ l(x) = mx + n $、

接点以外の交点を $( \beta , \ f( \beta ))$ とすると

$ f(x) − l(x) = a ( x−\alpha )^2 ( x − \beta ) $

が成り立ちます。

例:3次関数と接線

接線の方程式_微分使わない

$3$ 次関数  $ f(x) = 2 x^3 + 2 x^2 −4x $

直線  $ l(x) = 6x − 6 $(接線)

を例に考えます。

$2$ 式から $ f(x), \ l(x) $ を消去すると

$ $ $ f(x) − l(x) = 2 x^3 + 2 x^2 −10x + 6 $

$ $ $ = 2 ( x^3 + x^2 −5x + 3 ) $

$ $ $ = 2 ( x−1 )( x^2 +2 x −3 ) $

$ $ $ = 2 ( x−1 )^2 ( x + 3 ) $

$ f(x) − l(x) = 0 $ とすると

$ $ $ x = −3, \ 1 \ (重解) $

 

確かに、$ l(x) $ は点 $ (\color{red}{1} , \ f(1)) $ における $ f(x)$ の接線で、

その接点以外の 点 $(\color{red}{−3} , \ f(−3))$ で交わっていますね。

【パターン1】接点が分かる問題(微分を使わない)

まずは「パターン1:接点が分かっている問題」を、微分を使わずに 解いてみます。

【例題1】曲線 $ y= x^3 − 5x $ 上の点 $(1, −4)$ における接線の方程式を求めよ。

接線の方程式_例題1_no

【解答】

$ f(x) = x^3 − 5x $ 上の点 $(1, \ −4) $ における接線を

$ l(x) = mx + n $ とおくと

$ $ $ f(x) − l(x) = ( x−1 )^2 ( x − \alpha ) $

∴ $ x^3 − (m+5)x −n = ( x^2 −2x + 1 ) ( x − \alpha ) $

∴ $ x^3 − (m+5)x −n $ $= x^3 −(\alpha + 2)x^2 +(2 \alpha + 1 )x − \alpha $

係数を比較して

$ $ $ \begin{cases}
−(\alpha + 2) = 0 \\
\\
− (m+5) = 2 \alpha + 1  \\
\\
−n = − \alpha  \\
\end{cases}$

∴ $ \begin{cases}
\alpha = − 2 \\
\\
m = −2  \\
\\
n = −2  \\
\end{cases}$

よって、求める接線の方程式は

$ $ $ y = −2x −2 $

【パターン2】傾きが分かる問題(微分を使わない)

「パターン2:傾きが分かっている問題」も、微分を使わずに 解くことができます。

【例題2】曲線 $ y= x^3 − 2x + 5 $ において、傾きが $10$ である接線の方程式を求めよ。また、そのときの接点の座標を求めよ。

接線の方程式_例題2_no

【解答】

$ f(x) = x^3 − 2x + 5 $ 上の点 $(\alpha, \ f(\alpha) ) $ における接線を

$ l(x) = 10x + n $ とおくと

$ $ $ f(x) − l(x) = ( x−\alpha )^2 ( x − \beta ) $

∴ $ x^3 − 12x + 5 − n $ $= ( x^2−2 \alpha x + \alpha^2  ) ( x − \beta ) $

∴ $ x^3 − 12x + 5 − n $ $= x^3−( 2 \alpha + \beta ) x^2 + ( \alpha^2 + 2 \alpha \beta ) x − \alpha^2 \beta $

係数を比較して

$ $ $ \begin{cases}
−( 2 \alpha + \beta ) = 0 \enspace ・・・ ① \\
\\
− 12 = \alpha^2 + 2 \alpha \beta \enspace ・・・ ② \\
\\
5 − n = − \alpha^2 \beta \enspace ・・・ ③ \\
\end{cases}$

① より、$ \beta = −2 \alpha $

これと ② より、$ \alpha^2 = 4 $

∴ $ \alpha = \pm 2 $

 

$ $ [1] $ \alpha = 2  $ のとき

① より、$ \beta = − 4 $

③ より、$ n = −11 $

∴ 接線は $ y = 10x −11 $、接点は $(2, \ 9)$

 

$ $ [2] $ \alpha = − 2 $ のとき

① より、$ \beta = 4 $

③ より、$ n = 21 $

∴ 接線は $ y = 10x + 21 $、接点は $(− 2, \ 1)$

【パターン3】接点も傾きも分からない問題(微分を使わない)

最後は「パターン3:接点も傾きも分からない問題」の 微分を使わない 解き方です。

【例題3】点$(1, \ 1)$ を通り、曲線 $ y= x^3 − 4x + 5 $ に接する直線の方程式を求めよ。[12 愛媛大]

接線の方程式_例題3_no

【解答】

点 $(1, \ 1) $ を通り、$ f(x) = x^3 − 4x + 5 $ に接する直線を

$ l(x) = m(x-1) + 1 $ とおくと

$ $ $ f(x) − l(x) = ( x−\alpha )^2 ( x − \beta ) $

∴ $ x^3 − (m+4)x + m + 4 $

$ $ $ = ( x^2 −2 \alpha x + \alpha^2 ) ( x − \beta ) $

$ $ $ = x^3−( 2 \alpha + \beta ) x^2 + ( \alpha^2 + 2 \alpha \beta ) x − \alpha^2 \beta $

係数を比較して

$ $ $ \begin{cases}
−( 2 \alpha + \beta ) = 0 \enspace ・・・ ① \\
\\
− (m+4) = \alpha^2 + 2 \alpha \beta \enspace ・・・ ② \\
\\
m + 4 = − \alpha^2 \beta \enspace ・・・ ③ \\
\end{cases}$

① より、$ \beta = −2 \alpha $

② より、$ m+4 = 3 \alpha^2 $

③ より、$ m+4 = 2 \alpha^3 $

∴ $ 2 \alpha^3 = 3 \alpha^2 $

∴ $ \alpha^2 ( 2 \alpha − 3 ) = 0 $

∴ $ \displaystyle{ \alpha = 0, \ {3 \over 2} } $

 

$ $ [1] $ \alpha = 0  $ のとき

$ $ $ \beta = 0 , \ m = −4 $

∴ 接線は $ y = −4( x −1 ) + 1 = −4x + 5 $

 

$ $ [2] $ \displaystyle{ \alpha = {3 \over 2} } $ のとき

$ $ $ \displaystyle{ \beta = −3 , \ m = {11 \over 4} } $

∴ 接線は $ \displaystyle{ y = {11 \over 4}( x −1 ) + 1 = {11 \over 4}x −{7 \over 4} } $

【まとめ】微分を使わない「接線の方程式」【3次関数編】

最後にまとめです。

接線の方程式_例題2_no

$3$ 次関数 $ f(x) =ax^3 + bx^2 +cx + d $ について

点 $( \alpha , \ f( \alpha ))$ における接線を $ l(x) = mx + n $、

接点以外の交点を $( \beta , \ f( \beta ))$ とすると

$ f(x) − l(x) = a ( x−\alpha )^2 ( x − \beta ) $

 

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