このページを読めば
- 「隣接3項間の漸化式」の特性方程式で なぜ一般項が求められる のか?
- 「隣接3項間の漸化式」の特性方程式で一般項を求める 流れ・手順
- 「隣接3項間の漸化式」の特性方程式の 証明
をサクッと学ぶことができます。
【隣接3項間の漸化式】特性方程式とは?
「隣接3項間の漸化式($ a_{n+2} + p a_{n+1} + q a_n = 0 $)」の特性方程式をおさらいしておきます。
隣接3項間の漸化式 $ a_{n+2} + p a_{n+1} + q a_n = 0 $ において
$ $ $ \begin{cases}
a_{n+2} \, → \, x^2 \\
\\
a_{n+1} \, → \, x \\
\\
a_{n} \, \, → \, 1 \\
\end{cases} $
に置き換えた式
$ $ $ \underbrace{ a_{n+2} }_{x^2} + p \ \underbrace{ a_{n+1} }_{x} + q \ \underbrace{ a_n }_{1} = 0 $
$ $ $\Leftrightarrow \ x^2 + p x + q = 0 $
これを「特性方程式」と言います。
この特性方程式の解 $ \alpha, \, \beta $ を利用することで、隣接3項間の漸化式を解くことができます。
【隣接3項間の漸化式】特性方程式でなぜ一般項が求められるのか?
「隣接3項間の漸化式($ a_{n+2} + p a_{n+1} + q a_n = 0 $)」の一般項 $a_n $ を求める流れを見ていきましょう。
手順は以下の通り。
- 特性方程式の解 $ \alpha , \ \beta $ を求める
- 隣接3項間の漸化式を変形する(2通り)
- 数列 $ \{ a_{n+1} −\alpha a_{n} \}$, $ \{ a_{n+1} −\beta a_{n} \}$ の一般項を求める
- 手順③で求めた一般項の辺々を引く
【手順①】特性方程式の解 $ \alpha , \ \beta $ を求める
まず最初に 特性方程式($ x^2 + p x + q = 0 $)を解きます。
そこで求められた2解を $ \alpha, \, \beta \ ( \alpha \ne \beta ) $ とします。
隣接3項間の漸化式
$ $ $ a_{n+2} + p a_{n+1} + q a_n = 0 $ ・・・①
の特性方程式 $ x^2 + p x + q = 0 $ を解くと
$ $ $ x = \alpha, \, \beta \enspace (\alpha \ne \beta) $
【手順②】隣接3項間の漸化式を変形する(2通り)
なので、漸化式① は次の2通りに変形できる。
$ $ $ \begin{cases}
a_{n+2} −\alpha a_{n+1} = \beta \left( a_{n+1} −\alpha a_n \right) \, ・・・② \\
\\
a_{n+2} −\beta a_{n+1} = \alpha \left( a_{n+1} −\beta a_n \right) \, ・・・③ \\
\end{cases} $
【手順③】数列 $ \{ a_{n+1} −\alpha a_{n} \}$, $ \{ a_{n+1} −\beta a_{n} \}$ の一般項を求める
② より、$ \{ a_{n+1} −\alpha a_{n} \}$ は
$ $ $ \begin{cases}
初項 \, a_{2} −\alpha a_{1} \\
\\
公比 \, \beta \\
\end{cases} $
の等比数列。
③ より、$ \{ a_{n+1} −\beta a_{n} \}$ は
$ $ $ \begin{cases}
初項 \, a_{2} −\beta a_{1} \\
\\
公比 \, \alpha \\
\end{cases} $
の等比数列。
よって
$ $ $ \begin{cases}
a_{n+1} −\alpha a_{n} = ( a_{2} −\alpha a_{1} ) \, \beta^{n-1} \, ・・・④ \\
\\
a_{n+1} −\beta a_{n} = ( a_{2} −\beta a_{1} ) \, \alpha^{n-1} \, ・・・⑤ \\
\end{cases} $
(注)初項 $a$, 公比 $r$ の等比数列 $ \{a_n\} $ の一般項は $ ar^{n-1}$
【手順④】手順③で求めた一般項の辺々を引く
④ $−$ ⑤ より
$ ( \beta −\alpha ) \, a_{n} = ( a_{2} −\alpha a_{1} ) \, \beta^{n-1} − ( a_{2} −\beta a_{1} ) \, \alpha^{n-1} $
両辺を $ ( \beta −\alpha ) \ ( \ne 0 ) $ で割って
$ \displaystyle{ a_{n} = {1 \over \beta −\alpha} \left\{ ( a_{2} −\alpha a_{1} ) \, \beta^{n-1} − ( a_{2} −\beta a_{1} ) \, \alpha^{n-1} \right\} } $
④、⑤ の辺々を引くと $ a_{n+1} $ がちょうどキレイに消えてくれますね。
このようなプロセスで「隣接3項間の漸化式」の一般項 $ a_{n} $ が求められるわけです。
【隣接3項間の漸化式】特性方程式の証明
次に「隣接3項間の漸化式($ a_{n+2} + p a_{n+1} + q a_n = 0 $)」の特性方程式が成り立つことを証明します。
具体的には
特性方程式 $ x^2 + p x + q = 0 $ の2解が $ \alpha, \, \beta \enspace $
$ $ $\Downarrow$
$ \begin{cases}
a_{n+2} −\alpha a_{n+1} = \beta \left( a_{n+1} −\alpha a_n \right) \\
\\
a_{n+2} −\beta a_{n+1} = \alpha \left( a_{n+1} −\beta a_n \right) \\
\end{cases} $
のように変形できる理由を証明します。
この証明には、2次方程式の「解と係数の関係」を利用します。
2次方程式 $ ax^2 + bx + c = 0 $ の 2解 を $\alpha , \ \beta $ とすると
$ \begin{cases}
\displaystyle{ 和: \alpha + \beta = −{ b \over a } } \\
\\
\displaystyle{ 積: \alpha \beta = { c \over a } } \\
\end{cases}$
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それでは証明スタート!
【証明】
隣接3項間の漸化式 $ a_{n+2} + p a_{n+1} + q a_n = 0 $ ・・・① に対する
特性方程式 $ x^{2} + p x + q = 0 $ の 2解が $ \alpha, \, \beta $ のとき
解と係数の関係より
$ $ $ \begin{cases}
\displaystyle{ \alpha + \beta = −p } \\
\\
\displaystyle{ \alpha \beta = q } \\
\end{cases}$
∴ $ \begin{cases}
\displaystyle{ − ( \alpha + \beta ) = p } \\
\\
\displaystyle{ \alpha \beta = q } \\
\end{cases}$ ・・・②
② を ① に代入して
$ $ $ a_{n+2} − ( \alpha + \beta ) a_{n+1} + \alpha \beta a_n = 0 $
∴ $ a_{n+2} − \alpha a_{n+1} − \beta a_{n+1} + \alpha \beta a_n = 0 $
∴ $ \begin{cases}
a_{n+2} −\alpha a_{n+1} = \beta \left( a_{n+1} −\alpha a_n \right) \\
\\
a_{n+2} −\beta a_{n+1} = \alpha \left( a_{n+1} −\beta a_n \right) \\
\end{cases} $ [終]
こんな感じで、確かに変形が正しいことが証明できました。
あとはひたすら問題を解いて、解法の流れをバッチリ身につけましょう!
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