2次関数の頂点の座標が分数のとき、グラフはどうやって書けばいいの?
放物線の頂点が整数の場合、例えば3だったら素直に右に3マス進めばいいけど、分数の場合はどうなるの?
こういった疑問に答えます。
2次関数で「頂点の座標が分数になる」とき、例えば
$ $ $ \displaystyle { y = \left( x + {5 \over 2} \right)^2 − {13 \over 4} } $
みたいなグラフの書き方が、分からなくなるときってありますよね?
2次関数で頂点が分数になるようなグラフの書き方には、いくつかコツがあります。
今回は、
- 2次関数で頂点の座標が 分数 のグラフの書き方(6ステップ)
- もっと放物線を見やすく書くコツ(裏ワザ)
を伝授します。
【2次関数】頂点が分数のグラフの書き方【6ステップ】
「2次関数の頂点の座標が 分数 になるグラフの書き方」を説明します。
- 平方完成する
- 頂点、軸、上or下に凸 を求める
- $y$切片を求める
- $x$軸、$y$軸、原点$O$を書く
- 頂点、$y$切片の点を書く ← Point!
- 放物線を書く
ポイントは、ステップ5で「原点$\color{red}{O}$からの距離の 比 を利用すること」です。
詳細は後述します。
この6ステップにしたがって、「頂点の座標が 分数 の2次関数」のグラフを一緒に書いてみましょう!
【ステップ1】平方完成する
まずは 平方完成 して「$y = a(x−p)^2 + q$」の形にします。
$ y = x^2 + 5x +3 $
$ $ $ \displaystyle { = \left(x + {5 \over 2} \right)^2 − {25 \over 4} +3 } $
$ $ $ \displaystyle { = \left(x + {5 \over 2} \right)^2 − {13 \over 4} } $
「2次関数の平方完成のやり方」をおさらいしたい人はこちら。
二次関数の「平方完成」の計算に手間取ったり、しかもミスをよくしてしまう 平方完成を素早く、確実に、簡単に計算する方法を知りたい! そもそもなぜ平方完成するの? 平方完成はいつ使うの? 今回の記事では、こういった悩み・疑問[…]
【ステップ2】頂点、軸、上or下に凸 を求める
ステップ1で平方完成すると
「頂点」「軸」「上or下に凸」
が分かりますね。
2次関数 $ \displaystyle { y = \left(x + {5 \over 2} \right)^2 − {13 \over 4} } $ のグラフは
$ \begin{cases}
頂点 \enspace \displaystyle { \left( −{5 \over 2} , − {13 \over 4} \right) } \\
\\
軸:x = \displaystyle { −{5 \over 2} } \\
\\
下に凸 \\
\end{cases}$
の放物線。
【ステップ3】$y$切片を求める
$\color{red}{y}$切片 とは「$y$軸との交点の $y$座標」つまり「$x = 0$ となる $y$の値」です。
$ y = x^2 + 5x +3 $ において
$x = 0$ のとき $y = 3$
よって、「$y$切片は $3$」と分かります。
【ステップ4】$x$軸、$y$軸、原点$O$を書く
$x$軸、$y$軸、原点$O$を書いて、$xy$平面を用意します。
ここまではいつもと同じ流れですね。
【ステップ5】頂点、$y$切片の点を書く
ここからがいよいよ本題です。
まず「頂点の $x$座標」「頂点の $y$座標」「$y$切片」
の3つについて「原点$\color{red}{O}$からの距離」を比較します。
分数の大きさを比べるときは、分母をそろえるんでしたね。
$ \begin{cases}
頂点の x座標:\displaystyle { −{5 \over 2} = − { \color{red}{10} \over 4}} \\
\\
頂点の y座標:\displaystyle { − { \color{red}{13} \over 4} } \\
\\
y切片:\displaystyle { 3 = { \color{red}{12} \over 4} } \\
\end{cases}$
この 比 ($10:13:12$)をもとに「頂点」と「$\color{red}{y}$切片」のだいたいの位置を書き込みます。
【ステップ6】放物線を書く
ステップ5で書き込んだ「頂点」と「$\color{red}{y}$切片」を通るような放物線をひきます。
仕上げに「頂点の座標」「$y$切片」の値を書いたら完成です!
どうでしたか?
分数のまま考えるのではなく、原点$\color{red}{O}$からの距離の「比」で考えるといつもよりグラフが書きやすかったと思います。
【裏ワザ】放物線をもっとキレイに書きたい人へ
上で説明したのは、いわゆる「正攻法(王道)」に比を利用する工夫を加えたやり方です。
ただ、どうしてもこのやり方だと、ステップ6「放物線を書く」ときに 美術センス が大いに問われてしまいます。
そこで紹介したいのが、「誰でも簡単に 2次関数のグラフ が見やすく書ける方法(裏ワザ)」です。
- 平方完成する
- 頂点、軸、上or下に凸 を求める
- $y$切片を求める
- 放物線を書く ← New!
- $y$軸を書く ← New!
- $x$軸を書く ← New!
前半(ステップ1〜3)は正攻法と同じですが、
後半(ステップ4〜6)は いつもと 逆 の順番 でやります。
先ほどの 2次関数 $ y = x^2 + 5x +3 $ のグラフを、「裏ワザ」を使ってもっとキレイに見やすく書いてみましょう!
ステップ1〜3までで以下のことが分かっている状態からスタートです。
$ \begin{cases}
頂点 \enspace \displaystyle { \left( −{5 \over 2} , − {13 \over 4} \right) } \\
\\
下に凸 \\
\\
y切片:3 \\
\end{cases}$
【ステップ4】放物線を書く
ここからが いつもと逆のやり方 です。
書きたいグラフが「上に凸」か「下に凸」か を確認したら、
放物線をとりあえず書いておきます。
【ステップ5】$y$軸を書く
「頂点」と「$\color{red}{y}$切片」の位置を考えながら、
「$y$軸」を書きます。
2次関数 $ \displaystyle { y = \left(x + {5 \over 2} \right)^2 − {13 \over 4} } $ の場合、
- 頂点 $\displaystyle { \left( −{5 \over 2} , − {13 \over 4} \right) }$
- $y$切片:$3$ → 点$(0, 3)$ を通る
ということを考慮すると
$y$軸は、だいたいこの辺り。
もうちょっと細かく説明すると
たて:よこ $ = \displaystyle { \left\{ 3−\left( −{ 13 \over 4 } \right) \right\}:{5 \over 2} = { 25 \over 4 }:{5 \over 2} } $
$ $ $=$ ⑤:② くらいの比率になっていればPerfect!
(あまりこだわらなくてもOK)
【ステップ6】$x$軸を書く
最後に「$x$軸」を書きます。
ポイントとしては、
$ $ 「$\color{red}{y}$切片」と「頂点の $\color{red}{y}$座標」
のバランスを考えて $x$軸 の位置を決定するとGood!
今回の場合、
- $y$切片:$3$
- 頂点の $y$座標:$\displaystyle { − { 13 \over 4} }$
この2点の真ん中(中点の $y$座標)は
$ $ $\displaystyle { { 1 \over 2 } \left( 3−{ 13 \over 4 } \right) = \color{red}{−{ 1 \over 8 } } }$
なので、それよりちょっと上あたりに $x$軸(直線 $y = 0$)をひきます。
仕上げに「原点$O$」や「頂点の座標」などを書き込んだら、グラフの完成です!
いかがでしたか? いつもより キレイで見やすいグラフ が書けたと思いませんか?
なお、「たて:よこ」の比率は問題を解く上ではさほど重要ではないので、あまり気にしなくても大丈夫です。
慣れるまでは大変かもしれませんが、見やすいグラフが書けると 確実に 2次関数 の問題が解きやすくなります。
ぜひ練習してマスターしてみてください!
【練習問題】2次関数の頂点が分数のグラフ
ここまでで学んだやり方を使って「2次関数で頂点の座標が 分数 のグラフ」を書く練習をしてみましょう!
正攻法と裏ワザ、どっちで書いてもOKです!
【問題】次の2次関数のグラフをかけ。
(1) $ y = −2 x^2 + 6 x + 3 $
(2) $ y = 2 x^2 − x + 2 $
(3) $ y = −x^2 + 5 x $
- 【解答】を見る
- 【解答】
(1)
(2)
(3)
グラフを書くまでの過程(解説)はこちら。
- 【解説】を見る
- 【解説】
(1) $ y = −2 x^2 + 6 x + 3 $
$ $ $ = −2 \left( x^2 − 3 x \right) + 3 $
$ $ $\displaystyle { = −2 \left( x − {3 \over 2} \right)^2 −{9 \over 4} \cdot (−2) + 3 } $
$ $ $\displaystyle { = −2 \left( x − {3 \over 2} \right)^2 + {15 \over 2} } $
∴ $ \begin{cases}
\displaystyle { 頂点 \enspace \left( {3 \over 2} , {15 \over 2} \right) } \\
\\
\displaystyle { 軸:x = {3 \over 2} } \\
\\
上に凸 \\
\end{cases}$ の放物線また、$x = 0$ のとき $ y = 3 $
∴ $y$切片:$3$
(2) $ y = 2 x^2 − x + 2 $
$ $ $ \displaystyle { = 2 \left(x^2 − {1 \over 2}x \right) + 2 } $
$ $ $ \displaystyle { = 2 \left(x − {1 \over 4} \right)^2 − {1 \over 16} \cdot 2 + 2 } $
$ $ $ \displaystyle { = 2 \left(x − {1 \over 4} \right)^2 + {15 \over 8} } $
∴ $ \begin{cases}
\displaystyle { 頂点 \enspace \left( {1 \over 4} , {15 \over 8} \right) } \\
\\
\displaystyle { 軸:x = {1 \over 4} } \\
\\
下に凸 \\
\end{cases}$ の放物線また、$x = 0$ のとき $ y = 2 $
∴ $y$切片:$2$
(3) $ y = −x^2 + 5 x $
$ $ $ \displaystyle { = − \left(x^2 − 5 x \right) } $
$ $ $ \displaystyle { = − \left(x − {5 \over 2} \right)^2 −{25 \over 4} \cdot (−1) } $
$ $ $ \displaystyle { = − \left(x − {5 \over 2} \right)^2 + {25 \over 4} } $
∴ $ \begin{cases}
\displaystyle { 頂点 \enspace \left( {5 \over 2} , {25 \over 4} \right) } \\
\\
\displaystyle { 軸:x = {5 \over 2} } \\
\\
上に凸 \\
\end{cases}$ の放物線また、$x = 0$ のとき $ y = 0 $
∴ $y$切片:$0$ → 原点$O$ を通る
【まとめ】2次関数の頂点が分数のグラフの書き方
今回は「2次関数で頂点の座標が 分数 のグラフの書き方」を紹介しました。
- 平方完成する
- 頂点、軸、上or下に凸 を求める
- $y$切片を求める
- $x$軸、$y$軸、原点$O$を書く
- 頂点、$y$切片の点を書く ← Point!
- 放物線を書く
ポイントは、ステップ5で「原点$\color{red}{O}$からの距離の 比 を利用すること」でしたね。
たくさん練習してグラフの書き方に慣れておきましょう!
質問・要望があれば気軽にコメントください👍
参考:2次関数のグラフの簡単な書き方【裏ワザ】
今回紹介した「裏ワザ」をもっと学びたい人はこちら。
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