【高校数学】合同式(mod)で割り算の余りの問題をサクッと解く方法【頻出パターンの入試問題つき】

割り算の余りの問題は、余りによって場合分けをする必要があったり、記述量が多かったりとけっこう大変です。

そこで、今回は「合同式(mod)で余りの問題をサクッと解く方法」を紹介します。

よく出るパターンの入試問題 を使ってわかりやすく解説するので、ぜひ最後まで読んでみてください!

合同式(mod)の計算のしかた【Lv.0】

合同式(mod)の計算 についておさらいしたい人は、こちらのページを読んでおきましょう。

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【高校数学】合同式(mod)の定義・性質・計算をわかりやすく解説!【よく出る例題&問題つき】

合同式(mod)で割り算の余りの問題を解こう【Lv.1】

合同式(mod)をうまく使って「割り算の余りの問題をサクッと解く方法」を見ていきましょう。

【問題1】$m$ と $n$ を正の整数とする。$n$ を $m$ で割ると $7$ 余り、$n+13$ は $m$ で割り切れるとき、$m$ の値をすべて求めよ。[11 鹿児島大]

「$m$ で割った余り」の世界、「$\text{mod} \ m$」のもとで考えましょう。

【解答】を見る

【解答】

$n$ を $m$ で割ると $7$ 余るので

$ $ $m>7$ かつ

$ $ $ n \equiv 7 \pmod m $

両辺に $13$ を足して

$ $ $ n+13 \equiv 20 \pmod m $・・・①

 

また、$n+13$ は $m$ で割り切れるので

$ $ $ n+13 \equiv 0 \pmod m $ ・・・②

 

①、② より

$ $ $ 20 \equiv 0 \pmod m $ ・・・(注)

$m>7$ に注意すると

$ $ $ 20 = m , \ 2m $

∴ $ m = 10, \ 20 $

(注)$20$ を $m$ で割った余りが $0$ ということです。

$ $ $m$ が $7$ より大きい整数であることに注意すると、$ m = 10, \ 20 $ と分かります。

合同式(mod)を使わずにまともに解くやり方よりも、ずっとスッキリした解答が書けますね。

合同式(mod)で割り算の余りの問題を解こう【Lv.2】

【問題2】$a, \ b,\ c$ を正の整数とするとき、次の問題に答えよ。[類 12 関西大]

(1) $a^2$ を $3$ で割った余りは $0$ または $1$ であることを示せ。

(2) $a^2 + b^2 = c^2$ を満たすとき、$a, \ b $ の少なくとも一方は $3$ の倍数であることを示せ。

(1) $a^2$ を $3$ で割った余りは $0$ または $1$ であることを示せ。

$a$ を $3$ で割った余りに注目しましょう。

【解答】を見る

【解答】

$a$ を $3$ で割った余りは $0, \ 1, \ 2$ のいずれかなので、次のように場合分けできる。

$ $[1] $ a \equiv 0 \pmod 3 $ のとき

$ $ $ a^2 \equiv 0^2 \equiv 0 \pmod 3 $

∴ 余りは $0$

$ $[2] $ a \equiv 1 \pmod 3 $ のとき

$ $ $ a^2 \equiv 1^2 \equiv 1 \pmod 3 $

∴ 余りは $1$

$ $[3] $ a \equiv 2 \pmod 3 $ のとき

$ $ $ a^2 \equiv 2^2 \equiv 1 \pmod 3 $

∴ 余りは $1$ ・・・(注)

 

$ $[1]〜[3] より、$a^2$ を $3$ で割った余りは $0$ または $1$ である。[終]

(注)[3] $a \equiv 2 \equiv −1 \pmod 3 $ なので、場合分け [2]・[3]は、次のようにまとめて書いてもOK。

$ $ [2] $ a \equiv \pm 1 \pmod 3 $ のとき

$ $  $ a^2 \equiv (\pm 1)^2 \equiv 1 \pmod 3 $

$ $ ∴ 余りは $1$

(2) $a^2 + b^2 = c^2$ を満たすとき、$a, \ b $ の少なくとも一方は $3$ の倍数であることを示せ。

(1) の結果をうまく使います。

【解答】を見る

【解答】

(1) より、$c^2$ を $3$ で割った余りは $0 , \ 1$ のいずれかなので、次のように場合分けできる。

以下、$ \mod 3 $ のもとで($3$ を法として)考える。

$ $ [ア] $ c^2 \equiv 0 $ のとき

$ $ $ a^2 + b^2 \equiv 0 $

∴ $ \begin{cases}
a^2 \equiv 0 \\
\\
b^2 \equiv 0 \\
\end{cases}$

(1) の [1] より

$ $ $ \begin{cases}
a \equiv 0 \\
\\
b \equiv 0 \\
\end{cases}$

∴ $a, \ b $ はともに $3$ の倍数である。

 

$ $ [イ] $ c^2 \equiv 1 $ のとき

$ $ $ a^2 + b^2 \equiv 1 $

∴ $ \begin{cases}
a^2 \equiv 1 \\
\\
b^2 \equiv 0 \\
\end{cases}$ または $ \begin{cases}
a^2 \equiv 0 \\
\\
b^2 \equiv 1 \\
\end{cases}$

(1) の [2]、[3] より

$ $ $ \begin{cases}
a \equiv 1, \ 2 \\
\\
b \equiv 0 \\
\end{cases}$ または $ \begin{cases}
a \equiv 0 \\
\\
b \equiv 1, \ 2 \\
\end{cases}$

∴ $a, \ b $ のうち一方は $3$ の倍数である。

 

$ $[ア]、[イ] より、$a, \ b $ の少なくとも一方は $3$ の倍数である。[終]

(注)$a^2 + b^2 = c^2$ より、次のように整理できます。※ $□^2 \equiv 0, \ 1 \pmod 3 $

$ c^2 $ を $3$ で割った余り $ a^2 $ を $3$ で割った余り $ b^2 $ を $3$ で割った余り
[ア] 0 0 0
[イ] 1 1 0
0 1

こんな感じで、合同式(mod)を使うとスッキリと素早く解答を書くことができます。

ぜひマスターしておきましょう!

 

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